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異なる記憶どうしをつなぐ神経細胞集団の機能的な役割

異なる記憶どうしをつなぐ神経細胞集団の機能的な役割

2017.04.03 12:00
2017年4月6日 16:00~17:00
生命科学研究科講義室(片平プロジェクト棟1F)
脳機能解析分野 教授 八尾 寛  hiromu.yawo.c7*tohoku.ac.jp (*を@に置き換えて下さい)

講師:横瀬 淳 (富山大学大学院 医学薬学研究部(医学)生化学講座 , 特命助教)

要旨:
私たちは、経験によって獲得した様々な情報を適切に既存の記憶に関連付けることにより、日々変化する環境に適応していく能力を身に着けていきます。個々の記憶に対応した特定の神経細胞集団(記憶痕跡細胞; Memory engram cell)が脳内には形成されており、記憶同士の関連付けが起こる際には、それら細胞集団同士が重複することが報告されています。しかしながら、その重複した細胞集団自体の役割はほとんど不明でした。

そこで、マウスを用いた味覚嫌悪学習(Condition Taste Aversion; CTA)と音恐怖条件付け(Auditory Fear Conditioning; AFC)という二種類の連合記憶の新たな高次連合学習実験系を構築しました。CTAはサッカリン水溶液(甘い水)と塩化リチウム腹腔内投与による内臓倦怠感、 AFCはブザー音と電気ショックが関連付けされる条件づけ学習になります。両学習成立後、サッカリン水溶液とブザー音の対提示を連続して同時に行うことで、本来別々に獲得したCTA記憶とAFC記憶が関連付けられていました。すなわち、マウスがサッカリン水溶液を摂取すると、ブザー音を聞いた時のようにすくみ反応を示すようになりました。また、扁桃体外側基底核に内在し、記憶想起時に重複した記憶痕跡細胞集団のみを光遺伝学的に抑制すると、関連付けの結果生じるすくみ反応が低下しました。ただし、元々のCTA記憶およびAFC記憶の想起は正常のままでした。

以上より、重複した記憶痕跡細胞集団は記憶の連合のみに関与し、それぞれの記憶想起には必要ないことが明らかになりました。

ポスター

参考論文
J Yokose et al., Overlapping memory trace indispensable for linking, but not recalling, individual memories. Science, 355 : 398-403, 2017.

備考
プレスリリース:http://www.jst.go.jp/pr/announce/20170127/index.html