オートファジーによる筋細胞再構成機構の発見 -昆虫の変態期に見られるオートファジーの新たな機能-

オートファジーによる筋細胞再構成機構の発見
-昆虫の変態期に見られるオートファジーの新たな機能-

研究のポイント

  • ショウジョウバエの筋細胞(筋肉を構成する細胞)がオートファジーにより大規模に作り替えられる現象を発見。
  • 筋細胞でオートファジーを抑制すると、異常な形態の筋細胞となり、筋細胞の機能が失われる。
  • オートファゴソームとリソソームとの融合に関わる新分子として小胞輸送に関わる低分子量Gタンパク質の一種であるRab2を同定。
  • オートファジーの新たな機能を明らかにしただけでなく、生理的に重要である筋細胞再構成の理解に向けた解析モデルを提供すると期待。

概要

東北大学大学院生命科学研究科の藤田尚信助教・福田光則教授らは、東京大学、カリフォルニア大学サンディエゴ校との共同研究により、ショウジョウバエの筋細胞(筋肉を構成する細胞)がオートファジーにより大規模に作り替えられる現象を発見しました。
筋細胞は力を発生させるために高度に分化した細胞であり、筋原繊維やT管などの特殊な細胞内構造を持ちます。運動や加齢などの様々な要因により、筋細胞は常に傷害を受けており、傷害を受けた際にはT管などの膜構造体も壊して作り直され、構造体が再構成されることによって、細胞の恒常性が保たれています。しかしながら、機能を保持したまま筋細胞を試験管内で培養することが困難なため、T管を含めた筋細胞内の構造体が再構成される仕組みは、これまで十分に解明されていませんでした。そこで研究グループは、筋細胞の構造が幅広い生物種で保存されていることに着目し、ヒトと同様に高度に分化した構造を持つショウジョウバエの筋細胞をモデル系に用いて解析を行いました。その結果、ショウジョウバエの変態期に腹部の筋細胞が完全に壊された後に再形成される新たな現象を発見しました。また、ヒトの遺伝性筋疾患である筋細管ミオパシーの原因遺伝子をショウジョウバエの筋細胞で欠損させると、筋細胞の再構成に異常が見られることから、生物の進化の過程を経ながらも、幅広い生物種で保存されている筋細胞再構成の仕組みの存在が示唆されます。遺伝学的な解析から、筋細胞の再構成に関わる遺伝子として、オートファジー経路に関わる一群の遺伝子が同定され、さらに、オートファゴソームとリソソームとの融合に関わる新分子として小胞輸送に関わる低分子量Gタンパク質の一種であるRab2を同定しました。筋細胞で Rab2の働きを抑制すると、筋細胞内にオートファゴソームが異常に蓄積し、筋細胞の機能が失われました。本成果は、オートファジーがショウジョウバエの変態期に細胞死以外の機能を持つことを示した初めての報告です。また、これまで解析の立ち後れているヒトを含む高等動物の筋細胞再構成の理解に向けて、良い解析モデルを提供すると期待されます。
本研究成果は、国際的オープンアクセス科学雑誌「eLife」(電子版)に掲載されました(2017年1月8日付)。

tohokuuniv-press20170111_01.pngショウジョウバエ変態期に見られる筋細胞の再構成

 

詳細(プレスリリース)PDF

 

【論文】
Genetic screen in Drosophila muscle identifies autophagy-mediated T-tubule remodeling and a Rab2 role in autophagy

【著者】
Fujita N, Huang W, Lin TH, Groulx JF, Jean S, Kuchitsu Y, Koyama-Honda I, Mizushima N, Fukuda M, and Kiger AA

【雑誌】
eLife

【DOI】
http://dx.doi.org/10.7554/eLife.23367

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
担当 藤田 尚信(ふじた なおのぶ)
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Eメール:naonobu.fujita.b8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
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担当 高橋 さやか(たかはし さやか)
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