二本鎖DNA末端に対する強い塩基付加活性の発見-逆転写酵素の知られざる横顔

二本鎖DNA末端に対する強い塩基付加活性の発見-逆転写酵素の知られざる横顔

ポイント

  • マウス白血病ウィルス由来の逆転写酵素が、平滑DNA末端に対して、従来知られていた酵素よりも非常に強い塩基付加活性を有していることを発見。
  • 今回発見した塩基付加活性はアデニン(A)、シトシン(C)、グアニン(G)、チミン(T)いずれの塩基についても1から4塩基程度を付加できます。
  • 今後DNA操作基礎技術の1つとして、環境・化石由来の微量DNAの解析や、シングルセル解析などの方面での活用されることが期待されます。

概要

DNA合成酵素のうちあるものは平滑DNAの3’端に、鋳型配列非依存的に塩基を付加することで、3’突出を形成することが知られています(下図)。これまでに知られていたこのような活性を有する酵素は、いずれもAを付加する活性のみが強く、付加できるAの数も1つだけでした。東北大学大学院生命科学研究科の大坪嘉行准教授、永田裕二教授、津田雅孝教授らの研究グループは、逆転写に広く使用されているマウス白血病ウィルス由来の逆転写酵素が、平滑DNA末端に対してA、C、G、Tのいずれも1から4個付加可能な非常に強い活性を有していることを見出しました。70塩基から1,120塩基の異なる長さの6種類の平滑DNA断片に対してGの付加反応を行った後、1から4個のCを3’端から突出させたDNA断片とライゲーション反応を行ったところ91から97%の高い効率で連結させることができました。
DNA同士の連結は、DNA操作上の基礎技術の1つです。本研究成果は、DNAの連結効率を高める上で重要であり、環境あるいは化石由来の微量DNAの解析や、シングルセル解析などの方面での利用が期待されます。また、これまでの解析技術は、期待通りに反応が進んだもののみ解析して全体を推測するサンプリング調査的手法でした。今後さらに連結効率を高めることができればDNAサンプル中のDNA分子の全数調査が可能になると考えられます。本研究成果はサンプリング調査から全数調査へのブレークスルー技術の一端となることが期待されます。
この研究成果は2月2日付でScientific Reports誌に掲載されました。

tohokuuniv-press20170206_01.pngDNAの3’端にA、C、G、またはTをおおよそ1から4個付加できる。実際に付く数は反応時間やDNA濃度などによって異なる。

詳細(プレスリリース本文)PDF

 

【論文】
Efficient N-tailing of blunt DNA ends by Moloney murine leukemia virus reverse transcriptase

【著者】
Yoshiyuki Ohtsubo, Yuji Nagata, and Masataka Tsuda

【雑誌】
Scientific Reports

【DOI】
10.1038/srep41769

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
准教授 大坪嘉行(おおつぼよしゆき)
電話番号:022-217-5696
Eメール:yohtsubo*ige.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋さやか(たかはしさやか)
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