生命機能科学専攻 : 脳機能解析構築学講座

脳情報処理 分野

2-16ohara
大原 慎也
キャンパス 片平 キャンパス
専攻分野 脳情報処理分野
連絡先 022-217-5052
E-mail s-ohara@m.tohoku.ac.jp

私は、複雑な神経回路の構造・機能を詳細に解析するため、これまでウイルスベクターを用いた新規研究手法の開発を行ってきました。現在はこの手法を用いて、海馬を中心とした神経ネットワークの回路構造を調べています。これにより記憶形成のメカニズムを解明したいと考えています。

 

経歴

2004年 東北大学理学部生物科学科卒業

2006年 東北大学大学院生命科学研究科生命科学修士課程修了

2009年 東北大学大学院生命科学研究科生命科学博士課程修了

2009年-2009年 東北大学生命科学研究科特任助教 (GCOE)

2009年-現在  東北大学生命科学研究科助教

著書・論文 [論文]
  1. Ohara S., Sato S., Oyama K., Tsutsui KI., Iijima T., (2013). Rabies virus vector transgene expression level and cytotoxicity improvement induced by deletion of glycoprotein gene. PLoS One, 8(11).
  2. Ohara S., Sato S., Tsutsui KI., Witter M., Iijima T., (2013). Organization of multisynaptic inputs to the dorsal and ventral dentate gyrus: Retrograde trans-synaptic tracing with rabies virus vector in the rat. PLoS One, 8(11).
  3. Oyama K., Ohara S., Sato S., Karube F., Fujiyama F., Isomura Y., Mushiake H., Iijima T., Tsutsui K., (2013). Long-lasting single-neuron labeling by in vivo electroporation without microscopic guidance. J Neurosci Methods, 218(2):139-47.
  4. Ohara S., Inoue K., Witter M., Iijima T., (2009). Untangling neural networks with dual retrograde transsynaptic viral infection. Front Neurosci, 3 (3), 344-349.
  5. Ohara S., Inoue K., Yamada M., Yamawaki T., Koganezawa N., Tsutsui KI., Witter M., Iijima T. (2009). Dual transneuronal tracing in the rat entorhinal- hippocampal circuit by intracerebral injection of recombinant rabies virus vectors. Front Neuroanat, 3:1.
[著書]
  1. 大原慎也, 飯島敏夫, (2012). 分子プローブを用いた神経活動の光計測法. 実験医学増刊, 30 (2), 175-180.
所属学会 日本神経科学学会
担当講義 自然科学総合実験(全学教育)、発生生物学実習(学部)など

最近の研究について

記憶形成や空間認知に深く関わる海馬は、その長軸方向に沿って機能が異なることが知られています。カシューナッツのような細長い形のラット海馬の約3分の2をなす背側の部分(背側海馬)は空間的記憶の形成に関与する一方、残り3分の1をなす腹側の部分(腹側海馬)は情動を伴う記憶の形成に強く関与します。私たちは、ニューロン(神経細胞)からニューロンへとシナプスを超えて次々に伝播する遺伝子組換えウイルスを用いて、背側海馬と腹側海馬に情報を送る神経ネットワークの構造を調べました。その結果、それぞれの部位が、梨状皮質や内側縫線核、内側手綱核などの脳領域から入力を受けること、そしてそれら入力回路のあいだにはほとんど重なりが認められない、すなわち情報の干渉がなく独立していることを世界で初めて直接的に証明しました。長軸方向に沿って異なると考えられる海馬の記憶形成能の違いは、この入力回路の独立性という構造的基盤によって支えられているものと考えられます。海馬に入力する複雑な情報流路の一端を明らかにした本研究結果は、海馬を中心とした記憶形成メカニズムの解明に大きく貢献すると期待されます。

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