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植物の受精卵は力学を活用して成長する 〜成長と力学のフィードバックによって植物の上下ができる〜

植物の受精卵は力学を活用して成長する 〜成長と力学のフィードバックによって植物の上下ができる〜

2026.05.26 11:00

【発表のポイント】 

  • 植物の受精卵の先端をバンド状に取り囲む微小管が力学的な「枠」となり、受精卵が横方向に成長するのを阻止していることを明らかにしました。 
  • 受精卵が縦方向に成長するとその部分の表面張力が高まり、そこに微小管が集まることで新しい微小管バンドが作られました。 
  • この微小管バンドと細胞成長の力学的なフィードバックによって受精卵は縦に伸び続け、植物の上下軸が作られます。 
 

【概要】 

 多くの植物では、まず受精卵が上下非対称に細胞分裂することで、将来の花と根を結ぶ体軸(上下軸)が作られます。しかし、受精卵がどうやって上下を作るのかはほとんど分かっていませんでした。
 東北大学の植田美那子教授と北海道大学の津川暁准教授の共同研究グループは、モデル植物のシロイヌナズナにおいて、受精卵が成長する様子をライブイメージングし、その変化を正確に再現したシミュレーションモデルを作りました。その結果、受精卵が上方向(縦)に成長すると細胞表面の張力が増加し、そこに微小管がバンド状に集まって細胞を締め付ける「枠」となることで、受精卵の横への成長が阻まれて縦への成長が続く、という相互に影響し合うフィードバック制御を発見しました。 
 この研究によって、受精卵が力学的な仕組みを活用することで自動的に成長を続けるという、精緻な戦略が明らかになりました。この発見により、植物のかたち作りの理解が進むと期待されます。 
 本研究成果は科学誌Nature Communicationsに2026年5月22日付でEarly Access 版として掲載されました。
 
 
図1. (A)本研究で行った解析の流れ。(B)本研究で見出した細胞成長と微小管による力学フィードバックの模式図。
 
 
【論文情報】 
タイトル:Temporal changes in surface tension guide microtubule organization and accurate asymmetric division of Arabidopsis zygotes 
著者:Zichen Kang†, Sakumi Nakagawa†, Hikari Matsumoto, Yukitaka Ishimoto, Tomonobu Nonoyama, Yuga Hanaki, Satoru Tsugawa* and Minako Ueda* 
*共同責任著者: 
北海道大学大学院工学研究院機械・宇宙航空工学部門 准教授 津川暁 
東北大学大学院生命科学研究科 教授 植田美那子 
†共同筆頭著者: 
北海道大学大学院工学研究院機械・宇宙航空工学部門 博士研究員 康子辰 
東北大学大学院生命科学研究科 大学院生 中川朔未 
掲載誌:Nature Communications 
DOI:10.1038/s41467-026-72280-4 
URL:https://www.nature.com/articles/s41467-026-72280-4  
 
 
 
関連リンク
 
 
【問い合わせ先】 
(研究に関すること) 
東北大学大学院生命科学研究科 
教授 植田美那子 
TEL: 022-795-6713 
Email: minako.ueda.e7(at)tohoku.ac.jp 
 
(報道に関すること) 
東北大学大学院生命科学研究科広報室 
高橋さやか 
TEL: 022-217-6193 
Email: lifsci-pr(at)grp.tohoku.ac.jp