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2倍働くX染色体の遺伝子

2倍働くX染色体の遺伝子

2012.03.09 10:07

米国科学アカデミー紀要(PNAS)の電子版に掲載

2倍働くX染色体の遺伝子
  〜 染色体異常疾患の原因遺伝子推定へ応用 〜

所属:生態システム生命科学専攻 生物多様性進化分野
名前:牧野 能士

私たちの体の設計図である遺伝子は染色体に納められています。遺伝子からはタンパク質が作られますが、どれくらいの量(発現量)を作るかは厳密に制御されていて、遺伝子間の発現量バランスが崩れることは大きな問題です(量的不均衡)。ヒトの細胞には22対の常染色体と1対の性染色体があり、女性では2本のX染色体、男性ではX染色体とY染色体を1本ずつ持ちます。女性のX染色体の片方は不活性化され、機能するX染色体は男女ともに1本となり異性間の量的不均衡が解消されています。しかし、これではX染色体は常染色体と比較して半分しか機能していないことになります。東北大学大学院生命科学研究科生物多様性進化分野の牧野能士助教は、フランスとアイルランドの研究グループと共同でX染色体と常染色体上の遺伝子発現量を比較しました。その結果、発現量変化に敏感なX染色体上の遺伝子の発現量が倍加していることを突き止めました。これにより、X染色体と常染色体上の遺伝子間に生じる量的不均衡を解消するメカニズムが明らかとなりました。また本研究で得られた知見により、量的不均衡が原因となるX染色体数異常疾患と関連する遺伝子を多数推定しました。

詳細は、下記PDFファイルを参照ください。
プレスリリース文

本研究成果は米国科学アカデミー紀要(PNAS)の電子版に掲載されました。 http://www.pnas.org/content/early/2012/02/29/1116763109.abstract