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アブラナ科植物の自家不和合性を動的に解析

アブラナ科植物の自家不和合性を動的に解析

2013.06.28 09:36

生態システム生命科学専攻・植物生殖遺伝分野

渡辺正夫

 自家不和合性反応は、花粉と雌ずいでの自己・非自己識別反応ですが、雌ずいの先端には柱頭があり、その柱頭の先端が多数の乳頭上突起細胞に分化することで、より多くの花粉を受粉できるようになっています。また、通常の人工受粉では、花粉の上に花粉が重なるなど、花粉と雌ずいの間でどの様なことが起きているのかを、動的に見ることは困難さがありました。

 そこで、渡辺教授の研究室と大阪教育大・鈴木准教授、三重大・諏訪部准教授教授との共同研究において、実体顕微鏡下で、タイムラプスで1minおきに写真撮影したものを連続的に見る系を確立し、さらに、細いプラスチック製の糸で花粉を載せることで、1つの乳頭細胞には、1つの花粉しか載らないというようなシステムを構築しました。これを使うことで、自己受粉をする時と、非自己花粉を受粉する時に、花粉動態が明確に異なること、それが、S対立遺伝子以外の遺伝的背景が関係するかもしれないことも、見いだしました。この系を活かすことで、花粉と雌ずいの間のコミュニケーションにどの様な遺伝子が関与しているのかを計測することが可能となると考えています。

なお、この論文は、国際科学誌、Annals Botany (http://aob.oxfordjournals.org/) に発表しました。

Hiroi et al. (2013) Time-lapse imaging of self- and cross-pollinations in Brassica rapa. Annals Bot., 112: 115-122., (http://aob.oxfordjournals.org/content/112/1/115.abstract)

 私たちは、植物の生殖形質を遺伝学の手法を用いて、その分子機構を解明することを目標に、研究を行っております。主として研究しているのは、アブラナ科植物の自家不和合性の分子機構、花粉成熟に係わる分子メカニズム、低分子RNAの生殖形質への関連などです。
 そこで、こうした点を明らかにするために、遺伝学、植物学、作物学、育種学などの基礎を持ち、分子生物学の素養を有した学生さんと一緒に研究できれば、幸いです。ぜひ、渡辺まで、ご連絡ください。