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アルツハイマー病の原因遺伝子を推定 特殊な遺伝子"オオノログ"に着目することで病気の原因遺伝子を絞り込み

アルツハイマー病の原因遺伝子を推定 特殊な遺伝子"オオノログ"に着目することで病気の原因遺伝子を絞り込み

2017.06.28 09:16
 

発表のポイント

  • 高齢化に伴いアルツハイマー病患者が増加しており、社会問題となっている。
  • 近年、様々な病気の原因として遺伝子の数の変化が注目されており、アルツハイマー病についても数の変化が原因となる遺伝子群が報告されているが、本当に原因となる遺伝子の特定は困難であった。
  • 本研究では、数の変化に弱い特殊な遺伝子"オオノログ*1"に着目し、進化学的なアプローチを医学へ応用して原因遺伝子の絞り込みに成功した。
  • 遺伝子数の変化が関与する病気において、オオノログを用いた原因遺伝子の推定が有効であることを示している。
 

概要

 東北大学大学院生命科学研究科の牧野能士准教授らのグループは、アルツハイマー病患者に特有のゲノム領域に含まれるオオノログという特殊な遺伝子に着目することで病気の原因となる遺伝子を多数推定しました。本研究では、アルツハイマー病の発症と関わりが強い脳での遺伝子発現量調査、及び、マウスを用いた遺伝子機能の調査を行い、原因遺伝子の絞り込みを行いました。絞り込まれた遺伝子群は神経に関わる機能を持ち、また、脳での発現量が高く、これまでに知られていた原因遺伝子の特徴を持っていました。本研究は、進化学的なアプローチを医学へ応用して原因遺伝子を推定した重要な報告です。本研究によって、原因遺伝子の特定が困難であったアルツハイマー病以外の病気への応用も期待されます。本研究成果は、6月28日のMolecular Biology and Evolution誌(電子版)に掲載されます。本研究は、文部科学省科学研究費補助金の支援を受けて行われました。

【用語説明】
*1 オオノログ: 5億年前の脊椎動物の初期進化で起きた全ゲノム重複に由来する遺伝子群。ヒトは2万の遺伝子を持つが、そのうち約30%がオオノログである。
 
 
図1. アルツハイマー病原因遺伝子推定方法の概念図。アルツハイマー病患者で見られるCNV中には複数のオオノログが存在する場合があるため、既知アルツハイマー病原因遺伝子の特徴である脳での発現と神経機能を持ったオオノログに着目することで、原因遺伝子の絞り込みを実施。
 
 
図2. アルツハイマー病の原因遺伝子として推定されたオオノログの例。既知アルツハイマー病原因遺伝子と同様の特徴を持った遺伝子の絞り込み。多くの場合で1つのCNVあたり1つオオノログに絞り込むことができた。
 
 
【論文題目】
題目: Inference of causative genes for Alzheimer's disease due to dosage imbalance
 
著者: Mizuka Sekine and Takashi Makino
 
雑誌: Molecular Biology and Evolution
 
 
 

問い合わせ先

(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
担当 牧野 能士(まきの たかし)
電話番号:022-795-6689
Eメール:tamakino*m.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか(たかはし さやか)
電話番号:022-217-6193
Eメール:lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)