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食物網のかたちを捉える新手法 河川で生態系の変化を捉えることに成功

食物網のかたちを捉える新手法 河川で生態系の変化を捉えることに成功

2018.05.18 13:33

発表のポイント 

  • 野外生織の化学分析(安定同位体分析)を組み合わせて計算される新しい生態系の指標(3つのD指標)を使うことで、これまで捉えることのできなかった、食物網の複雑性を知ることができるようになりました。
  • さまざまな河川における水生昆虫の食物網を例に、それぞれについて3つのD指標の時間変化等を調べることで、これらの生態系の状態が人間活動等の影響を受けて変化する様子を捉えることに成功しました。
 

概要

 総合地球環境学研究所・加藤義和研究員、陀安一郎教授、東北大学・近藤倫生教授、森林総合研究所・吉村真由美室長らの研究グループは、生物多様性を知るための指標として知られていたシャノン・ウィーナー指数(H')をもとに算出できる3つのD指標を用いることで、食物網の複雑な構造を捉えられることを示しました。
 
 本研究成果は、生態学分野のトップジャーナルであるEcology Letters誌に5月18日にオンライン公開されました。
 
 
 
図1. 解きほぐしがなされた後の食物網におけるD指標。四角は、それぞれの種のバイオマス(現存量)のうち、各栄養段階に分配された分量を示す。灰色の四角は、ある一つの種について分配されたバイオマスを示す。
 
 
 
図2. 水生無脊椎動物の食物網を構築した河川。左上から時計回りに、護摩壇山試験地内の渓流(和歌山県)、安曇川の上流部(滋賀県)、有田川の中流部(和歌山県)、野洲川の下流部(滋賀県)。
 
 
 
 
 
 
 【論文の詳細】
 
表題:Using food network unfolding to evaluate food-web complexity in terms of biodiversity: theory and applications
論文和訳名:栄養ネットワークの解きほぐしを使って食物網構造を生物多様性の観点から評価する:理論と応用
 
著者:Yoshikazu Kato, Michio Kondoh, Naoto F. Ishikawa, Hiroyuki Togashi, Yukihiro Kohmatsu, Mayumi Yoshimura, Chikage Yoshimizu, Takashi F. Haraguchi, Yutaka Osada, Nobuhito Ohte, Naoko Tokuchi, Noboru Okuda, Takeshi Miki, Ichiro Tayasu
 
雑誌:Ecology Letters
 
 

問い合わせ先

 
(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
担当 近藤 倫生 (こんどう みちお)
電話番号:022-795-6696
Eメール:michio.dondo.b8*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
 
(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか (たかはし さやか)
電話番号:022-217-6193
Eメール:lifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)