研究内容

l 植物の旺盛な増殖を支える分子基盤 

植物は動物と異なり、生涯にわたり形作りを続け、旺盛に増殖します。これを可能にするのは、胚発生後も次々と幹細胞集団(メリステム)を作り出すという植物の能力です。これにより植物は成長パターンを柔軟に調節し、環境に適応した形づくりを続けます。私達は、成長パターンを決定する基本的な仕組みや環境に合わせた調節機構、進化について研究しています。

 

1. 植物多能性幹細胞を決定づけるしくみ

多能性幹細胞は、様々な種類の器官・組織・細胞を生み出す能力を備えた特別な細胞です。コケ植物のメリステムではただひとつの多能性幹細胞が規則的に分裂し、茎葉体が生み出されます。私たちは、ヒメツリガネゴケを用いて、多能性幹細胞が作られ維持されるしくみを研究しています。

2. 環境に合わせて増殖を調節するしくみ

ヒメツリガネゴケ
植物は、種子で増えるだけではなく、体の一部からクローンをつくる栄養繁殖でも旺盛に増殖します。ゼニゴケの栄養繁殖では杯状体というカップ状の器官に多数の無性芽(プロパギュール)が作られます。私たちは、無性芽形成のしくみや、環境条件に応じて無性芽数が調節されるしくみを研究しています。




3. 植物ホルモンやその信号伝達系の起源と進化

植物ホルモンは、成長や環境情報への応答など植物の生命現象のほとんどすべてに関わります。私たちは、植物の成長や環境応答を調節する植物ホルモンであるストリゴラクトンを研究対象として、その信号伝達系の起源や進化を研究しています。