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研究内容

記憶・学習系



海馬及び海馬周辺皮質における情報処理機構の解明

 記憶がどのように形成され、どのように保持され、どのように検索、読み出しが行われるかなどの解明を目指している。外界から受け取る種々モダリティの感覚情報は大脳皮質で処理された後に、側頭葉内側部に送られる。側頭葉内側部の記憶機構(medial temporal lobe memory system)の構成要素として海馬、海馬傍回、扁桃体がある。海馬はその中心をなす重要な器官であるが、近年の研究からその役割は短期記憶の形成・保持と長期記憶への変換過程に関与するものと判断される。一方、記憶痕跡の貯蔵庫(長期記憶の座)は大脳、連合皮質にあることを示す多くの証拠があるので、海馬を中心として形成された記憶はその後、大脳連合野に送られ、長期記憶として蓄えられるという記憶機構の全体像が想定される。これらの記憶機構のうち、我々は特に感覚情報や情動情報の海馬への取り込み、ならびに海馬からの情報を長期記憶の座たる大脳連合野に送信する役割の両方を担う海馬周辺皮質の働きに注目している。また、情動が記憶形成や読み出しに与える影響などについても研究している。  



  膜電位感受性蛍光色素を用いた光計測による海馬周辺スライス標本における神経活動の記録



海馬を中心とした神経ネットワーク構造の解明

海馬を中心とした記憶をつかさどる神経ネットワークの全容を明らかにするため、組換えウイルスベクターを用いた神経トレーシングを行っている。この研究により明らかにした配線図を手掛かりとして、今後新たな、海馬を中心とした神経ネットワークの機能的構造(functional architecture)の研究を展開され、それにより海馬を中心とした記憶形成メカニズムの解明が大きく進展することが期待される。



  ウイルスベクターを用いた海馬、及び海馬周辺皮質を中心とした神経回路トレーシング
  (Ohara et al., Front. Neuroanat. 3:1 2009a; Ohara et al., PLoS One. 8(11):e78928. 2013a)




連絡先


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東北大学大学院生命科学研究科
 生命機能科学専攻
  脳機能解析構築学講座
   脳情報処理分野



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准教授  筒井健一郎
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