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研究内容

感覚系


嗅覚系におけるニオイ情報処理機構の解明

嗅覚情報処理に関わる領域は哺乳類では脳底に位置しているため、従来の手法では神経活動を直接計測することは容易でなく、嗅覚情報処理機構はほとんど解明されていない。そこで、嗅覚受容器と中枢への伝達経路を機能的に維持したまま全脳を摘出する手法(単離脳標本作成法)を新たに開発し、in vitroで嗅覚刺激に伴う神経活動の計測を可能とした。この標本では全脳の表面が露出しているため、あらゆる脳領域において容易に神経活動を計測することができ、 さまざまな計測手法を適用できる。 私たちはこの標本を用いて嗅覚刺激が引き起こす梨状皮質の神経応答を計測し、20〜30Hzのオシレーションを伴う特徴的な応答を示すことを見出した。 嗅覚刺激に用いるニオイ物質の種類や濃度による周波数の変化はなく、オシレーションは匂いの質や濃度ではなく、神経情報の統合や記憶、想起に関与していると考えられる。 また、嗅覚刺激を一定時間持続して与えると神経応答は消失し、これは我々が日常的に経験する「慣れ」と同一の現象であると思われる。 電位波形の振幅や時間変化に、計測部位による有意な差異は見られないため、視覚に見られるような外界の情報と脳部位の「点と点の対応」が嗅覚においては 乏しいと考えられる。



  (Ishikawa et al.,J. Neurophysiol. 97(1):670-679. 2007)



頭頂連合野における視空間認知の神経機序の解明

頭頂連合野は、損傷すると、構成失行やバリント症候群など、さまざまな行為障害を引き起こす。これは、頭頂連合野が、視覚を中心とするマルチモーダルな情報の統合に基づいた空間認識にかかわっており、その情報を行為の企図のために前頭葉の運動関連領野に提供しているからだと考えられている。ニューロン活動の記録や、TMSによる機能介入により、頭頂連合野の機能の詳細をしらべている。


(Tsutsui KI, Sakata H, Naganuma T, Taira M Neural correlates for perception of 3D surface orientation from texture gradient. Science 298, 409-412. 2002)





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