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研究

研究成果

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節足動物の形作りのメカニズムを解析

節足動物の形作りのメカニズムを解析

2015.06.09 16:04

附属浅虫海洋生物学教育研究センター

中本 章貴 (なかもと あやき)

【研究概要】
 東北大学大学院生命科学研究科附属浅虫海洋生物学教育研究センター、中本章貴助教らの国際研究グループは、これまで明らかにされていなかった節足動物の体節形成機構を、甲虫類に属するコクヌストモドキ(Tribolium castaneum) を用いて細胞の振る舞いに着目して解析しました。その結果、胚後方の細胞は前方の細胞よりも多くの体節を作り出すこと、前方の細胞と後方の細胞で分裂する回数に違いが無いこと、後方の細胞は配置換えを行い、前後に沿って著しく伸張することを明らかにしました。このことは、体節は細胞の増殖によってではなく、細胞が特定の方向に移動することによって作り出されることを示唆しています。数理モデルによるシミュレーションからもこのことが支持されました。また、今回の研究では体節形成の周期性は常に一定ではなく、胸部体節が形成される時期と腹部体節が形成される時期で、周期性は異なっていることも明らかとなりました。
 これらの研究成果は節足動物の体節形成機構と進化について新たな洞察をもたらすものであり、イギリスの総合科学雑誌Nature Communicationsに2015年4月10日付けで掲載されました。

【図】

コクヌストモドキ(Tribolium castaneum)の胚後方の細胞は前後に沿って著しく伸長し、腹部の体節に寄与する。図の左側が前方、右側が後方を示す。(A)胞胚期の標識された細胞(緑)。(B)体節形成時期における標識された細胞の子孫細胞の分布(緑)。腹部の多くの体節に渡って細長く伸長している。(C)成体のコクヌストモドキ。赤褐色で体長は数ミリ。小麦の中で飼育されている。

詳細(プレスリリース本文)PDF

【発表雑誌】Nature Communications誌 (6:6635 doi:10.1038/ncomms7635, 2015)

【発表論文名】Changing cell behaviors during beetle embryogenesis correlates with slowing of segmentation.
(甲虫の胚発生における細胞の振る舞いの変化は体節形成の周期性の遅れと対応している。)

【著者名】Nakamoto, A., Hester, D. S., Constantinou, J. S., Blaine,
      G. W., Tewksbury, B. A., Matei, T. M., Nagy, M. L., Williams, A. T.

お問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
附属浅虫海洋生物学教育研究センター
担当 中本 章貴 (なかもと あやき)
電話 017-752-3388
Eメール  anakamoto*m.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)
(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
広報室担当
高橋 さやか(たかはし さやか)
電話 022-217-6193
Eメール  lifsci-pr*ige.tohoku.ac.jp (*を@に置き換えてください)