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交尾をしない“プラトニック変異体”はセロトニンが足りない ―ショウジョウバエでの研究成果―

交尾をしない“プラトニック変異体”はセロトニンが足りない ―ショウジョウバエでの研究成果―

2016.12.14 09:20

求愛は交尾という"目的"を達成するための手段ともみることができますが、求愛ばかりしていて交尾をしないオスの存在も知られています。ショウジョウバエの「プラトニック(platonic)」と名付けられた突然変異体がその一つです。 このたび東北大学大学院生命科学研究科の山元大輔教授のグループは、ショウジョウバエのプラトニック突然変異体のオスがなぜ交尾をしないのか、その謎解きに成功しました。 まず、このプラトニック突然変異体ではスクリブラー (scribbler)と呼ばれる遺伝子が働かなくなっていることを突き止めました。スクリブラーは、体の形づくりを根幹で支える"骨形成因子 (BMP)"の作用を仲介する因子の遺伝子で、ヒトにも存在しています。スクリブラー遺伝子が働かないと、腹部の感覚と運動を司る神経節に存在している数個のセロトニンを合成する神経細胞が、おとなになる前に失われてしまうことがわかりました。そこで、セロトニンの原料となるアミノ酸の一種 (5-HTP)を、プラトニック突然変異体のオスがおとなになってから食べさせたところ、なんとプラトニックのオスたちが交尾をするようになったのです。こうして、ヒトでは幸福感につながるとされる神経伝達物質、セロトニンが、ショウジョウバエでは交尾の実行に不可欠であることが明らかになりました。 本研究成果は、Springer Nature (UK)発行のonline科学誌『ネイチャー・コミュニケーションズ』 (Nature Communications) にて12月13日午後7時(日本時間)に発表されました。

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スクリブラー遺伝子は幼虫期に働いて8つのニューロンの生存を可能にし、そのニューロンは成虫になったのち、神経ホルモンのセロトニンを放出することで交尾を可能にする

詳細(プレスリリース本文)PDF

【論文】 Serotonergic neuronal death and concomitant serotonin deficiency curb copulation ability of Drosophila platonic mutants

【著者】 Yasemin B. Yilmazer, Masayuki Koganezawa, Kosei Sato, Jinhua Xu & Daisuke Yamamoto

【雑誌】 Nature Communications

【DOI】 10.1038/ncomms13792

問い合わせ先

〈研究に関すること〉
東北大学大学院生命科学研究科
教授 山元 大輔(やまもと だいすけ)
電話番号:022-217-6218
Eメール:daichan*m. tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

〈報道に関すること〉
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当:高橋 さやか (たかはし さやか)
電話番号:022-217-6193
ファックス:022-217-5704
Eメール:lifsci-pr*ige.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)