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日本で生まれた環境DNAビッグデータが海外展開!ANEMONE Globalが本格始動 UNESCOが主導する「OCEAN DECADE」に採択され海洋生物観測網の拡大に貢献 〜12カ国・地域を超える研究グループが連携した世界規模での海洋調査を展開中〜

日本で生まれた環境DNAビッグデータが海外展開!ANEMONE Globalが本格始動 UNESCOが主導する「OCEAN DECADE」に採択され海洋生物観測網の拡大に貢献 〜12カ国・地域を超える研究グループが連携した世界規模での海洋調査を展開中〜

2025.04.21 11:00
 東北大学大学院生命科学研究科、東北大学・海洋研究開発機構 変動海洋エコシステム高等研究所の近藤倫生教授がプロジェクトリーダーを務める「ネイチャーポジティブ発展社会実現拠点」(以下、NP拠点事業)は、世界12カ国・地域の環境保全機関と連携し海外での観測活動を展開していた「ANEMONE Global」が、UNESCOの持続可能な海洋を実現するプロジェクト「OCEAN DECADE ACTION」(注1)に2025年3月に採択されたことを発表します。
 
 
■ANEMONE GlobalがOCEAN DECADE ACTIONに採択された背景
 NP拠点事業が主幹する環境DNA(注2)観測網「ANEMONE」(注3)は全国大学機関等との協働のもと2019年から運用開始、約830人の市民ボランティアと共に観測とデータ整備を行ってきました。今までに1941地点で検出された1,300種以上の生物の発見データを公開するなど、多くの学術研究者や市民に対して有益な生物多様性観測ビッグデータの提供を行ってきました。
 2024年からは、「ANEMONE」の活動に共感する海外の研究グループとの連携がスタート。12カ国・地域以上の研究機関16グループとともに海洋モニタリングが始まり、2025年度からは、この規模をさらに拡大させて活動を本格化させていく計画です。
 こうした世界規模で展開される生物多様性のモニタリング活動について、UNESCOから高く評価され、持続可能な海洋の実現を目指すプロジェクト「OCEAN DECADE ACTION」として2025年3月に採択されました。2025年度は、海外の研究機関との連携による海洋モニタリングなどを計画しています。
 
<ANEMONE Globalの概要>
正式名称 ANEMONE Global(アネモネ グローバル)
設立時期 2024年1月
代表機関 NP拠点
代表者 東北大学大学院生命科学研究科・WPI-AIMEC 教授
NP拠点長:近藤 倫生
コアメンバー 琉球大学熱帯生物圏研究センター 教授:梶田 忠
東京大学大気海洋研究所    准教授:峰岸 有紀
参画機関(国・地域) 12カ国・地域、16グループ
活動概要・目的 ・世界規模での海洋生物多様性モニタリングの基盤確立
・モニタリングや分析/解析手法の標準化(統一)
・観測網のグローバル展開や協力体制構築の推進
研究資金等 (公財)笹川平和財団海洋政策研究による
「オーシャンショット」から研究助成金の支援を受けています
Webサイト https://obon-ocean.org/project/anemone-global-advancing-edna-based-biodiversity-monitoring/ 
 
 
<代表者によるコメント>
豊かな海は水産資源をはじめとする様々な恵みをもたらし、幅広い社会経済活動を支える社会全体の資本です。今回のOCEAN DECADE ACTIONの採択を通じて、ANEMONEプロジェクトが海洋の持続的利用に有効な活動と評価しもらえたことを嬉しく思います。豊かな海に囲まれた日本発のANEMONEが世界中に仲間を増やしながら、地球の海洋全体を守り回復していく大きなうねりになっていくことを目指していきます。
東北大学大学院生命科学研究科・WPI-AIMEC 教授・NP拠点長
近藤 倫生
 
注1.    OCEAN DECADE(Webサイト https://oceandecade.org)は、海洋科学における革命を推進する機関として2021年1月に発足。OCEAN DECADE ACTIONでは、パートナー機関とともに、グローバルからローカルに至るまで幅広いスケールで科学と政策の連携が促進されるために必要なデータや情報、知識を生み出すことを目指している。OCEAN DECADEコミュニティは、共通の課題への研究や投資等の連携によって、海が人々に与える実利的・精神的な恩恵を持続可能であり続けるよう貢献する。
※OCEAN DECADEのビジョン&ミッションより引用(https://oceandecade.org/ja/vision-mission/
 
注2.    環境DNAとは水中や土壌中など環境中に存在する生物由来のDNA(デオキシリボ核酸)を指す。生物はフンや粘液などと一緒に自らのDNAの痕跡を環境中に残す。野外で採取した水や土壌などから生物由来DNAを抽出、分析することでそこに住む生物の種類を知る技術(環境DNA技術)が近年になって大きく発展した。捕獲や直接観察に頼る従来の生物調査法に比べて、調査現場での作業が圧倒的に少ないことから、従来の調査法では容易ではなかった多地点、高頻度での生物調査を実現する画期的な方法として注目されている。
 
注3.    ANEMONE(All Nippon eDNA Monitoring Network)は環境DNAを利用した生物多様性観測のネットワーク。環境DNAの主要技術を生んだ大型プロジェクト研究「環境DNA分析に基づく魚類群集の定量モニタリングと生態系評価手法の開発(近藤倫生 代表;JST CREST制度による)」において2017年より実施された全国沿岸での環境DNA調査を前身とし、2019年からは東北大学・筑波大学・かずさDNA研究所が中心となって、全国の大学や国立研究所、行政機関、市民ボランティアの協力のもと日本全国の沿岸や河川、湖沼等をカバーする環境DNA調査を実施している。77の観測ステーションでの定期観測に加えて、2020年からは市民ボランティアや民間企業による調査も実施されている。
 
 
<参考資料>
■NP拠点の概要(Webサイト https://www.naturepositive-hub.jp/
自然の劣化を回復基調に転じる「ネイチャーポジティブ」の理念に基づき、アカデミア、金融・ビジネスセクター、自治体、市民等を巻き込んだ包括的なアプローチで、国際的な社会変革をリードする。自然の高度な科学的理解に基づく自然の価値の可視化、ネイチャーポジティブに資する基礎・応用研究の促進、自然資本への資金の流れの加速および産業の創出、社会のシステムや制度設計への貢献、専門知識を備え地域で活躍する人材の育成や起業促進等を、一体的かつ効率的に展開する。アンダーワンルーフのもと業種や国境を超えた連携・共創を促進し、国際課題であると同時に地域創生の鍵でもあるネイチャーポジティブ実現を支えるハブとして自立する。
 
 
 
 
【お問い合わせ先】
(報道について)東北大学・海洋研究開発機構 変動海洋エコシステム高等研究所(WPI-AIMEC) 研究推進企画部 飯田 綱規
TEL: 022-795-5620 / Email: aimec-comm(at)grp.tohoku.ac.jp
 
(内容について)東北大学ネイチャーポジティブ発展社会実現拠点 広報事務局:上田羊介
TEL: 022-795-6688 / Email: yosuke.ueda.c1(at)tohoku.ac.jp
 
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