発熱植物・ザゼンソウの発熱メカニズムに、ミトコンドリアが重要!!
植物発熱の鍵を解明し、耐寒性植物の育種にも道を開く
所属:生態システム生命科学専攻・植物生殖遺伝分野
名前:渡辺正夫
URL:http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/
動物は、恒温動物、変温動物など、温度があるのが一般的かもしれないですが、植物の中には、まれに、発熱をする植物があります。今回は、サトイモ科の発熱植物である、ザゼンソウについて、岩手大、理研との共同研究により、ザゼンソウの発熱器官である肉穂花序の発達とどのような分子が、どのように関連しているのかと言うことを明らかにしました。
ザゼンソウは、雌期、両性期、雄期という発達を行い、雌期、両性期において、主に発熱し、その温度は、20oCにもなるといわれています。しかしながら、その時期が、生殖的に見た場合、どの時期であり、また、形態的特徴にどのようなものがあるかが不明でした。今回の研究から、発熱時期である、雌期、両性期には、タペート細胞が活発である、さらに、この時期には、肉穂花序に多くのミトコンドリアが存在している。さらに、このミトコンドリアの活性は、ジャガイモ、カリフラワーなどと比べて、10倍以上の活性がある。ということが明らかにできました。つまり、この比活性が高く、大量にあるミトコンドリアが植物の発熱の鍵を握っているということを示しました。さらなる研究を展開することで、発熱機構に関わる肉穂花序での関連分子の同定等を行い、耐寒性植物の分子育種の道も開けると期待しています。
なお、関連情報は渡辺教授の研究室のHPにも記してあります。
渡辺のHP:http://www.ige.tohoku.ac.jp/cgi-bin/prg/watanabe/news/news.cgi?mode=dsp&no=117&num=
今回の研究が掲載されたJ. Exp. Bot.の表紙にも採用
プレスリリース記事については、こちらからもご覧になれます。
プレスリリース記事 (462kb)
私たちは普段、植物の生殖、特に、アブラナ科植物の自家不和合性という、花粉と雌しべの相互作用の分子機構を研究しています。植物の生殖という研究の幅を広げるために、今回のような新しい共同研究ができればと考えております。
植物の研究をされている方々で、花を材料に用いたいのだけど、小さいなど、問題を抱えておられる方、ぜひ、一度お声かけ頂き、その研究の花を一回り大きいものにできればと思います。どこから、そのような話が来るのを楽しみにしております。
また、アブラナ科植物の多様性、自家不和合性について、興味を持ち、渡辺の研究室で、そうした研究をしたいという方がいらっしゃれば、ぜひ、渡辺まで、ご連絡ください。