自殖性植物を他殖させる新規遺伝子を国際誌Plant Cell Physiol.に掲載
植物の生殖形質と細胞壁機能をつなぐXTH28遺伝子の機能解明
所属:生態システム生命科学専攻・植物生殖遺伝分野
名前:渡辺正夫
URL:http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/index.html
高等植物の生殖形質を新しい試みとして、細胞壁機能と連携し、解析することで、XTH28遺伝子の生殖形質における機能を明らかにし、国際誌Plant Cell Physiol. (Impact factor 3.8)に発表した。
アブラナ科植物は、一般に自家不和合性を有しており、他殖性を示し、そのことが種内の遺伝的多様性を高めていると考えられている。一方で、アブラナ科植物には、個体花とも小さな植物も多くあり、その代表とも言えるシロイヌナズナは、自家和合性で自殖性です。もちろん、今までの自家不和合性研究から、機能する S遺伝子を導入すると自家不和合性というか、他殖になることが示されている。
当分野と同研究科の植物細胞壁機能分野との共同研究で、細胞壁関連遺伝子XTH28の機能欠失が、シロイヌナズナで他殖を誘導することを発見した。雌ずいの葯を保持する花糸で特異的に発現していることから、葯の物理的強度を高めるためにXTH28遺伝子が機能し、重要であることを示した(Kurasawa et al. (2009) Plant Cell Physiol. 50: 413-422)。
植物生殖形質研究の新しい研究方向性として、さらに発展させたい。
モデル植物・シロイヌナズナ野生種
私たちは、この様に主として、アブラナ科植物の自家不和合性の分子機構を研究しています。
最近は、様々な研究室と共同研究を展開しています。異分野交流が研究をさらに発展させるものと思っています。
生殖にまつわる様々な形質の多くは、その現象は博物学的に記載されているが、そこに関わる分子はほとんど解明されていない。そこで、こうした点を明らかにするために、遺伝学、植物学等の基礎を持ち、分子生物学の素養を有した学生さんと一緒に研究できることを希望します。ぜひ、渡辺まで、ご連絡ください。