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自己・非自己花粉を識別するアブラナ科植物の自家不和合性の解析

自己・非自己花粉を識別するアブラナ科植物の自家不和合性の解析

2005.05.01 16:36

所属: 生態システム生命科学専攻・植物生殖遺伝分野
名前:渡辺正夫
URL:http://www.lifesci.tohoku.ac.jp/teacher/environmental/t_watanabe.html

第4回インテリジェント・コスモス奨励賞を、「自己・非自己を花粉を識別するアブラナ科植物の自家不和合性制御遺伝子の解析」というテーマで受賞した。
 高等植物の自家不和合性は、ダーウィンの頃から着目されていた植物特有の現象であり、基礎科学からみれば、アブラナ科植物の自家不和合性は、遺伝的多様性を維持するメカニズムであり、植物における自己・非自己識別機構の1つとして注目されている。一方、この自家不和合性は、実際の安定的F1雑種による品種改良においても利用されている重要な形 質である。受賞者は、アブラナ科植物のBrassica campestrisを材料として、自家不和合性において花粉と雌しべで自己・非自己を識別するS遺伝子座の解析を行ってきた。まず、雌しべ側S因子について、柱頭特異的遺伝子SLG とSRKを独立に形質転換した植物体を作出した。その結果、SRKが雌しべ側のS遺伝子であり、SLGは、柱頭 での認識反応を安定させるということを明らかにした。一方、花粉側S因子については、SLG/SRKを含む76kb ゲノム断片の全塩基配列を決定し、この領域で葯特異的に発現し、S対立遺伝子間で多型のあるSP11遺伝 子を同定した。この遺伝子を形質転換し、花粉側S表現型の変化からSP11が花粉側S因子であることを明らか にした。さらに、20以上のSP11の対立遺伝子をクローニングし、SLG, SRKとの比較から、S遺伝子座上のこれ ら3つの遺伝子は共進化をすることにより、新しいS遺伝子を生み出してきたことを見出した。S対立遺伝子間 に見られる優劣性制御が、柱頭側はSRK、花粉側はSP11の発現レベルによることを明らかにした。

 私たちは、この様にアブラナ科植物の自家不和合性の分子機構を研究しています。ここまで明ら かにしたように、S遺伝子の実態は明らかにしましたが、S遺伝子の認識後、どの様なシグナルが雌しべの細 胞内に伝達され、自己花粉管の侵入ができなくなるのか、あるいは、非自己と認識された花粉がどのようなメ カニズムで、花粉管が乳頭細胞に侵入するのかという点に関しては、ほとんど明らかになっていない。また、 アブラナ科の特徴である胞子体的にS遺伝子が機能することに起因する優劣性についても、その詳細は明ら かになっていない。そこで、こうした点を明らかにするために、遺伝学、植物学の基礎を持ち、分子生物学の 素養を有した学生さんと一緒に研究できることを希望します。