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ニューロンに刻印された性 - 雄の求愛を引き起こす神経回路

ニューロンに刻印された性 - 雄の求愛を引き起こす神経回路

2005.11.01 17:03

所属:生命機能科学専攻 脳機能遺伝分野
名前:山元大輔

 キイロショウジョウバエのsatoriと名付けられた突然変異体は雄が同性愛行動を示す。satori突然変異体で機能を失っている遺伝子はfruitlessと呼ばれ、脳の一群の神経細胞で働いている。それらの神経細胞を雄と雌とで比較した結果、性によって数と形の違うものが見つかった。この性差の一因は、予定細胞死によって雄型に発達する筈の神経細胞が雌から取り除かれることであることが分かった。fruitless遺伝子は雄特有のタンパク質(Fruitlessタンパク質)をつくり、このFruitlessタンパク質が予定細胞死を阻害するので、雄には雄型の神経細胞ができ、雄特有の神経回路が生み出されるのだ。雄が雌に求愛し、雄には求愛しないのは、この雄特有の神経回路の働きによると考えられる。なぜ異性愛と同性愛があるのか。またそれを生み出す神経の仕組みはどんなものであり、どのようにして遺伝子が異性愛-同性愛の決定に関与するのか、という未知の課題に対して明快な答えを出した研究である。はじめて解明された性指向性を司る神経細胞の画像は、natureの表紙を飾っている。この研究は、本学生命科学研究科脳機能遺伝分野の山元と、北海道教育大学・木村賢一教授のグループ、早稲田大学・大手学助手との共同研究の成果である。
Kimura, K-I., Ote, M., Tazawa, T. and Yamamoto, D. (2005) Fruitless specifies sexually dimorphic neural circuitry in the Drosophila brain. Nature 438, 229-233.

[PDF] 本研究の画像が掲載されたNature 11月10日号の表紙です。