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植物ホルモンのオーキシンを運ぶタンパク質がキュウリ芽生えの形をつくるしくみを宇宙実験で発見

植物ホルモンのオーキシンを運ぶタンパク質がキュウリ芽生えの形をつくるしくみを宇宙実験で発見

2016.09.26 15:39

 地球上に住む私たちが日頃見ている植物は、重力が存在する環境で生育するのに最もふさわしい形を取りながら成長しているわけですが、それには細胞内に存在 する植物ホルモンが関係し、植物ホルモンが植物内を移動することによってその形づくりが決定されています。今回の宇宙実験では、国際宇宙ステーションの" 微小重力環境"を利用し、植物ホルモンのひとつである"オーキシン"の植物内移動が、地上の重力環境下と宇宙の無重力環境下で異なることを解明しました。

 過去の宇宙実験では、微小重力下での植物の成長の仕方が地上と違うことは観察されていましたが、本研究ではさらに詳細な植物ホルモンの植物体 内での動きを、キュウリの芽生えを使って明らかにしました。その結果から、我々が日頃見ているような植物の形というのは、地上(1G環境)では重力の方向 を感知してオーキシンを植物体の下側に運ぶことによって成長を制御するしくみを獲得しながら進化してきた可能性が考えられました。

 植物体内にお けるオーキシンの移動は、オーキシンを細胞内から細胞外へ輸送するタンパク質である「PINタンパク質」によって行われています。東北大学大学院生命科学 研究科の髙橋秀幸教授らのグループは、国際宇宙ステーション「きぼう」での微小重力環境下で、JAXAとの共同実験により、地上と宇宙では植物 (キュウリ芽生え) の体の形が変わること、重力の有無で変化する形づくりに、オーキシンを輸送する「PINタンパク質」が重要な役割を果たすことを明らかにしました。

本実験は、国際宇宙ステーションで実験操作を行った古川聡宇宙飛行士、地上からの操作を行った日本実験棟「きぼう」の運用管制チームの協力によって実施されました。
本成果は、英国の科学誌ネイチャー・パートナー・ジャーナル「npjマイクログラビティ―(npj Microgravity)」に平成28年9月15日、公開されました。

詳細(プレスリリース)PDF

【論文】 The gravity-induced re-localization of auxin efflux carrier CsPIN1 in cucumber seedlings: spaceflight experiments for immunohistochemical microscopy

【著者】 Chiaki Yamazaki, Nobuharu Fujii, Yutaka Miyazawa, Motoshi Kamada, Haruo Kasahara, Ikuko Osada, Toru Shimazu, Yasuo Fusejima, Akira Higashibata, Takashi Yamazaki, Noriaki Ishioka, Hideyuki Takahashi

【雑誌】 npj Microgravity

【DOI】 10.1038/npjmgrav.2016.30

問い合わせ先
(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
担当 髙橋 秀幸(たかはし ひでゆき)
電話番号:022-217-5714
Eメール:hideyuki*ige.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか(たかはし さやか)
電話 022-217-6193
Eメールlifsci-pr*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)