GO TOP

最新情報

研究成果

最新情報

がん抑制因子による上皮の細胞分裂方向の制御機構を解明 〜がんをはじめとした上皮由来の病態発症メカニズムの理解へ〜

がん抑制因子による上皮の細胞分裂方向の制御機構を解明 〜がんをはじめとした上皮由来の病態発症メカニズムの理解へ〜

2019.06.07 14:00

発表のポイント

  • がん抑制因子ScribとDlgが、上皮組織の細胞分裂方向を制御する新規メカニズムを発見しました。
  • ショウジョウバエを用いた解析で、ScribとDlgは分裂期スピンドルダイナミクスを制御し、14-3-3タンパク質と相互作用することで、細胞分裂方向を決定することがわかりました。
  • Scrib/Dlg/14-3-3による細胞分裂方向の制御は、上皮構造を維持するのに必要であり、がんをはじめとした上皮由来の病態発症メカニズムの理解につながることが期待されます。
 

概要

 東北大学学際科学フロンティア研究所の中嶋悠一朗(なかじまゆういちろう)助教(生命科学研究科兼任)は、アメリカのストワーズ医学研究所のMatthew Gibson(マシュー・ギブソン)博士との共同研究を行い、生体上皮組織における細胞分裂方向を制御する新規メカニズムを、ショウジョウバエモデルを用いて解明しました。これまで上皮組織の極性を制御することが知られていたがん抑制因子ScribとDlgが、分裂期スピンドルのダイナミクスを制御し、14-3-3タンパク質と相互作用することで、細胞分裂方向を決定することを発見しました。さらに、Scrib/Dlg/14-3-3タンパク質が制御する細胞分裂方向が、上皮構造を維持するのに必要であることが明らかとなりました。
 本研究成果は、細胞分裂方向の新たな制御機構を提示するだけでなく、その仕組みの破綻が、がんをはじめとした上皮由来の病態を理解する上でも重要な示唆をすることが期待されます。
 本研究の内容は、米国の国際科学誌「Journal of Cell Biology」の電子版(5月14日付:日本時間5月15日)にて発表された後、6月3日発行の同誌にて掲載されました。
 
 
 
 
 
【論文題目】

題目: Junctional tumor suppressors interact with 14-3-3 proteins to control planar spindle alignment

著者: Yu-ichiro Nakajima, Zachary T. Lee, Sean A. McKinney, Selene K. Swanson, Laurence Florens, Matthew C. Gibson

雑誌: Journal of Cell Biology
DOI: 10.1083/jcb.201803116

詳細(プレスリリース本文)PDF

 
【関連リンク】
 
【問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学学際フロンティア研究所 助教
(東北大学大学院生命科学研究科 助教 兼任)
中嶋 悠一朗 (なかじま ゆういちろう)
電話: 022-795-6701 / E-mail: yuichiro.nakajima.d2(at)tohoku.ac.jp

(報道に関すること)
東北大学学際フロンティア研究所 企画部
鈴木 一行(すずき かずゆき)
電話: 022-795-4353 / E-mail: suzukik(at)fris.tohoku.ac.jp