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クラゲの体の成長や触手の発生・再生には細胞増殖が必須 〜新規の原始後生動物研究モデルの確立に向けて〜

クラゲの体の成長や触手の発生・再生には細胞増殖が必須 〜新規の原始後生動物研究モデルの確立に向けて〜

2019.09.04 14:00

発表のポイント

  • クラゲを含む刺胞動物は、 左右相称動物の姉妹群であり、筋肉や神経を持った最も原始的な動物です。
  • クラゲには無性生殖のポリプと有性生殖を行うメデューサがありますが、メデューサの発生、成長、再生の細胞レベルでのメカニズムはほとんどわかっていません。
  • 飼育が容易なエダアシクラゲを用いて、メデューサにおける細胞増殖のパターンを明らかにし、体の成長や触手の発生・再生における細胞増殖の役割を示しました。

概要

 東北大学学際科学フロンティア研究所の中嶋悠一朗(なかじまゆういちろう)助教(生命科学研究科・兼任)は、同生命科学研究科大学院生の冨士田壮佑(ふじたそうすけ)氏、倉永英里奈(くらながえりな)教授らとともに、クラゲのメデューサ個体の体が成長する過程や触手の形態形成・再生において細胞増殖が必須であることを明らかにしました。
 クラゲは約6億年前から地球上に存在する原始後生動物の1種であり、左右相称動物(脊椎動物や節足動物など)とは独立して進化してきたと考えられます。これまで、飼育や系統維持の難しさなどから、クラゲ個体を用いた細胞や分子レベルの研究は困難でした。中嶋助教らは、研究室環境で飼育が容易なエダアシクラゲを用いて、細胞増殖のパターンを詳細に明らかにしました。さらに、クラゲの成長や触手の発生・再生において細胞増殖が必須であることを示しました。
 本研究は、原始後生動物であるエダアシクラゲを用いた発生や再生、生理学的な研究の細胞生物学的な基礎となると考えられます。本研究の内容は、大学院生冨士田を筆頭著者、中嶋助教を責任著者として、オープンアクセスのオンライン国際生命科学誌 PeerJ(8月26日)に掲載されました。

 
 
 
 写真1                   写真2
 
 
 
【論文題目】
 
題目:Cell proliferation controls body size growth, tentacle morphogenesis, and regeneration in hydrozoan jellyfish Cladonema pacificum.
 
著者:Sosuke Fujita, Erina Kuranaga, Yu-ichiro Nakajima.
 
雑誌:PeerJ 7:e7579, 2019.
 
 
 
 
 
 
【関連リンク】
 
 
 
【問い合わせ先】
<研究に関すること>
東北大学学際フロンティア研究所 助教
(東北大学大学院生命科学研究科 助教 兼任)
担当:中嶋 悠一朗(なかじま ゆういちろう)
電話番号:022-795-6701
E-mail:yuichiro.nakajima.d2(at)tohoku.ac.jp
              
<報道に関すること>
東北大学学際フロンティア研究所 企画部
担当:鈴木 一行 (すずき かずゆき)
電話番号: 022-795-4353
E-mail: suzukik(at)fris.tohoku.ac.jp