発表のポイント
- ゼニゴケ(Marchantia polymorpha)の新しい植物ホルモンを同定しました。
- ホルモンの構造進化の鍵となった化学変換反応を発見しました。
- 高等植物への進化に伴い、ホルモンの化学構造の「進化」に関する貴重な示唆を与える成果です。
概要
動くことのできない植物は、多くの外部環境ストレス(病虫害、低温、塩害、乾燥など)にさらされています。これらのストレスに対する耐性機構は、約4億5千万年前に植物が陸上に進出した際に発生したと考えられています。
東北大学大学院理学研究科・生命科学研究科 上田 実教授、加治 拓哉助教、西里 祐宇保 大学院生は、東北大学大学院生命科学研究科 経塚 淳子 教授、依田 彬義 研究員、CNB-CSIC(スペイン)Roberto Solano教授らとの国際共同研究によって、始原陸上植物のモデルとされるゼニゴケ(Marchantia polymorpha)の新しい植物ホルモンΔ4-dn-iso-OPDAを同定しました。このホルモンは、コケ植物(ゼニゴケ、ヒメツリガネゴケ、ツノゴケ)に広く分布しており、草食昆虫や病原体に対する植物のストレス耐性機構に重要な役割を果たしています。高等植物の多くはこれに対応するホルモンをもっており、その構造の違いから、ホルモン進化の経路に関する貴重な示唆が得られました。
今回の発見は、植物ホルモンシグナルの進化を理解するための重要な知見につながると考えられます。
本成果は、6月5日付けで、総合科学誌iScienceにおいて公開されました。
東北大学大学院理学研究科・生命科学研究科 上田 実教授、加治 拓哉助教、西里 祐宇保 大学院生は、東北大学大学院生命科学研究科 経塚 淳子 教授、依田 彬義 研究員、CNB-CSIC(スペイン)Roberto Solano教授らとの国際共同研究によって、始原陸上植物のモデルとされるゼニゴケ(Marchantia polymorpha)の新しい植物ホルモンΔ4-dn-iso-OPDAを同定しました。このホルモンは、コケ植物(ゼニゴケ、ヒメツリガネゴケ、ツノゴケ)に広く分布しており、草食昆虫や病原体に対する植物のストレス耐性機構に重要な役割を果たしています。高等植物の多くはこれに対応するホルモンをもっており、その構造の違いから、ホルモン進化の経路に関する貴重な示唆が得られました。
今回の発見は、植物ホルモンシグナルの進化を理解するための重要な知見につながると考えられます。
本成果は、6月5日付けで、総合科学誌iScienceにおいて公開されました。
図1. ゼニゴケの始原ホルモンは前駆体から活性型への異性化反応で生成する
【論文情報】
Takuya Kaji#, Yuho Nishizato#, Hidenori Yoshimatsu, Akiyoshi Yoda, Wenting Liang, Andrea Chini, Gemma Fernández-Barbero, Kei Nozawa, Junko Kyozuka, Roberto Solano, and Minoru Ueda*. (2024) Δ4-dn-iso-OPDA, a bioactive plant hormone of Marchantia polymorpha. iScience (Cell Press)
DOI:https://doi.org/10.1016/j.isci.2024.110191
URL:https://www.cell.com/iscience/fulltext/S2589-0042(24)01416-0
DOI:https://doi.org/10.1016/j.isci.2024.110191
URL:https://www.cell.com/iscience/fulltext/S2589-0042(24)01416-0
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【問い合わせ先】
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東北大学大学院理化学研究科(兼)生命科学研究科
教授 上田 実(うえだ みのる)
TEL: 022-795-6553
Email: minoru.ueda.d2(at)tohoku.ac.jp
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(報道に関すること)
東北大学大学院理学研究科 広報・アウトリーチ支援室
TEL: 022-795-6708
Email: sci-pr(at)mail.sci.tohoku.ac.jp
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