発表のポイント
- 化学合成殺虫剤のガンマ-ヘキサクロロシクロヘキサン (γ-HCH) は、すでに使用が禁止されていますが、未だに悪名高い環境汚染物質です。
- 細菌由来のγ-HCH分解酵素遺伝子を導入した形質転換シロイヌナズナ植物の作製に成功しました。
- 形質転換植物はγ-HCHの毒性に対する耐性能が向上し、培地中のγ-HCHを分解しました。
概要
化学合成殺虫剤ガンマ-ヘキサクロロシクロヘキサン (γ-HCH) は、かつてγ-BHCあるいはリンデンとも呼ばれ、日本でも広く使用されていましたが、牛乳汚染が問題となり、1971年に使用が禁止されました。しかし、その残留汚染は地球的規模で未だに深刻であり、POPs条約(注1)の指定物質にもなっています。
東北大学大学院生命科学研究科の永田裕二教授・渡辺正夫教授らの研究グループは、細菌由来のγ-HCH分解酵素遺伝子を導入した形質転換シロイヌナズナ植物の作製に成功しました。この形質転換植物は、γ-HCHの毒性に対する耐性能が向上し、培地中のγ-HCHを吸収して分解する活性を示しました。細菌由来のγ-HCH分解酵素活性を発現する完全植物体は初めての報告であり、環境浄化への応用に一歩近付きました。
本研究成果はバイオテクノロジー分野の専門誌BMC Biotechnologyに6月19日付で掲載されました。
東北大学大学院生命科学研究科の永田裕二教授・渡辺正夫教授らの研究グループは、細菌由来のγ-HCH分解酵素遺伝子を導入した形質転換シロイヌナズナ植物の作製に成功しました。この形質転換植物は、γ-HCHの毒性に対する耐性能が向上し、培地中のγ-HCHを吸収して分解する活性を示しました。細菌由来のγ-HCH分解酵素活性を発現する完全植物体は初めての報告であり、環境浄化への応用に一歩近付きました。
本研究成果はバイオテクノロジー分野の専門誌BMC Biotechnologyに6月19日付で掲載されました。
図. 形質転換植物はγ-HCHの毒性に対する耐性能が向上
【用語説明】
注1. POPs条約:POPsは残留性有機汚染物質 (Persistent Organic Pollutants) の略であり、指定されたPOPsの製造・使用・移動を禁止・制限する条約。ストックホルム条約ともよばれる。
【論文情報】
Wenhao Deng, Yoshinobu Takada, Yoshihiko Nanasato, Kouhei Kishida, Leonardo Stari, Yoshiyuki Ohtsubo, Yutaka Tabei, Masao Watanabe and Yuji Nagata* (2024) Transgenic Arabidopsis thaliana plants expressing bacterial γ-hexachlorocyclohexane dehydrochlorinase LinA. BMC Biotechnology
DOI:10.1186/s12896-02400867-0
URL: https://doi.org/10.1186/s12896-024-00867-0
URL: https://doi.org/10.1186/s12896-024-00867-0
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東北大学大学院生命科学研究科
教授 永田裕二
TEL:022-217-5699
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東北大学大学院生命科学研究科広報室
高橋さやか
TEL: 022-217-6193
Email: lifsci-pr(at)grp.tohoku.ac.jp
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