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時と場合によって変わる、生物の“絶滅しやすさ”と環境変動との関係を解明

時と場合によって変わる、生物の“絶滅しやすさ”と環境変動との関係を解明

2011.05.31 17:11

米国科学アカデミー紀要(PNAS)の電子版に掲載

時と場合によって変わる、生物の“絶滅しやすさ”と環境変動との関係を解明

所属:生態システム生命科学専攻 群集生態分野
名前:千葉聡
URL: http://www.biology.tohoku.ac.jp/lab-www/chiba/index.html

環境変動に対して絶滅しやすい生物とはどんな生物か?という問題は、古くから生態学や保全生物学の関心を集めてきた問題である。しかし実際に生物を脅かす個別の変動要因ごとに、絶滅しやすい生物の特徴を現実の生態系で定量化し、その一般性を調べた研究はこれまで無かった。群集生態分野の千葉聡准教授の研究グループは、明治時代以降に起きた小笠原諸島の陸産貝類の絶滅について、島ごと、時代ごとに絶滅や分布の激減を生じた種の性質を調べることにより、“絶滅しやすさ”の一般性を調べた。その結果、特定の変動要因の影響に対しては、絶滅する種に共通の、絶滅しやすい性質が認められた。
しかし時代ごと、島ごとに、関与する変動要因が変わると、それに応じて絶滅する種の性質も変化した。ある脅威に対して頑健だからといって、その種が長期的に絶滅しにくいことにはならず、また過去と未来では絶滅のパターンが違う可能性が高いことが示された。本研究の環境保全上の意義は、野生生物や生態系の保全対策に際して、希少種ないし危急度のランクを過度に重視することの危険性を示す点である。

詳細は下記PDFより参照ください。
研究成果(211Kb)

本研究成果は、5月23日の米国科学アカデミー紀要(PNAS)の電子版に掲載されました。
http://www.pnas.org/content/early/2011/05/19/1100085108