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フロンティア生命科学セミナー “Decoding the Function of Expansion Segments in Ribosomes”/ リボソームから伸びるRNA触手の役割

フロンティア生命科学セミナー “Decoding the Function of Expansion Segments in Ribosomes”/ リボソームから伸びるRNA触手の役割

2018.11.27 08:22
開催日:2018年12月13日(木) 16:00~17:00
会場:片平キャンパス 生命科学プロジェクト棟 会議室103
 
講演者:藤井耕太郎博士
Department of Developmental Biology and Genetics
Stanford University, US/ 東北大学理学部生物学科卒業生
 
 
 遺伝子を発現する過程でその遺伝情報を正確に保つことは転写、翻訳どの段階でも不可欠である。翻訳段階は核酸配列からアミノ酸配列へと変換する複雑な反応であり、そのエラー確率は10-4とmRNAの転写(10-5)やDNA複製(10-6)と比較して高い。不正確なタンパク質合成は凝集を引き起こし、ときには神経変性疾患を引き起こす。哺乳類など複雑な生物ほど翻訳の正確性が高いと言われているが、どのように正確性を上昇させているかは知られていない。原核生物から真核生物への進化の過程で翻訳を行うリボソームの大きさは1MDaも大きくなっており、その大部分は30ものExpansion Segment (ES)と呼ばれる真核生物に特異的なrRNA領域の挿入による。大きなESはヒトでは700ntにもなり触手のようにリボソームから伸びている。今回我々は酵母の遺伝学を用いてrRNAの159ntのESの27番(ES27L)を特異的に加工し、ES27Lを欠いたリボソームはアミノ酸のミスインコーポレーション、フレームシフト、終始コドンのリードスルーが増え、ES27Lが翻訳の正確性に関わっていることを明らかにしてきた。さらに分子機構を明らかにするため、定量的質量分析を用いてES27Lに依存してリボソームにリクルートされる分子を同定した。全てのタンパク質合成はメチオニンから始まるが、8割以上のタンパク質から翻訳後に除去される。 全ての生物で保存されているメチオニンアミノペプチダーゼ(MetAP)がES27L-RNA scaffoldに依存して真核生物のリボソームにリクルートされ、新生タンパク質のメチオニン除去の効率を上げることで翻訳の正確性を向上させていることが明らかになった。複雑なプロテオームの機能性を確保するために、リボソームの触手が進化の過程で複雑な変化をして獲得してきた役割を考察する。
 
《参考文献》
- Fujii et al "Decoding the function of the expansion segments in ribosomes." Mol. Cell, in press, 2018
- Shi & Fujii et al "Heterogeneous ribosomes preferentially translate distinct subpools of mRNAs genome-wide." Mol. Cell, 2017
- Fujii & Shi et al "Pervasive translational regulation of the cell signaling circuitry underlies mammalian development." Nat. Commun., 2017
 
 
【問い合わせ先】
世話人: 大学保一
学際科学フロンティア研究所
兼 生命科学研究科分子遺伝生理分野
(ydaigaku(at)m.tohoku.ac.jp, ext. 5745)