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分子細胞生物分野主催セミナー

分子細胞生物分野主催セミナー

2025.06.04 09:30
【開催日時】
2025年6月23日(月)13:00~14:30
 
【講師】
木内 泰 先生(京都大学大学院医学研究科 神経・細胞薬理学)
 
【題目】
抗血清由来プローブを用いた多色超解像顕微鏡法IRISによる内在性分子複合体の可視化 
 
【会場】
ハイブリッド開催(Zoomにて同時配信)
対面:片平キャンパス 生命科学プロジェクト研究総合棟 講義室B105号室
オンライン:Zoom 
URL:https://us06web.zoom.us/j/83608155772?pwd=6AlBOjbhnYFDi0s9v1TJEj31jarpeh.1
ミーティング ID:836 0815 5772 パスコード475210 
 
【使用言語】
日本語
 
【要旨】
 クラスリン被覆部位、接着斑、細胞骨格や膜構造では、多種のタンパク質によって分子複合体が形成され、様々な機能を発揮している。しかしその分子構成の可視化は、最新の超解像顕微鏡法の数ナノメートルの分解能でも困難である。これは、大きさ12ナノメートルの抗体が数ナノメートルの標的分子に結合すると、その近傍に別の抗体が接近できないためである。我々は、この標識問題を解決するため、標的分子に直接結合した後に迅速に解離する蛍光プローブを開発してきた。結合解離プローブの多数回の結合による限界のない高密度標識とプローブ交換による連続多重染色を実現した超解像顕微鏡法IRISを報告している1
 本発表では、抗血清由来のIRISプローブを開発し、8つの内在性タンパク質の多色超解像可視化を報告する2。さらに高密度標識と分解能の改善によって、タンパク質サイズのピクセルで分子複合体を評価する画像解析PC-coloringを開発した。その結果、クラスリン被覆部位の縁にEGFRとGrb2を含めた多層状の分子複合体の形成、EGFRとトランスフェリン受容体の局在分離やEps15の部位特異的な複合体形成が明らかとなった。
 クラスリン被覆部位は、膜受容体のリクルート、選別、エンドサイトーシスといった多機能な分子装置である。ここでの分子複合体の分布は、それらの機能を発揮するための分子構成を示している。任意の標的に対して作製できる抗血清由来プローブと複数標的の忠実な分布から、IRISは様々な細胞機能における分子複合体の研究を強力に推し進めるだろう。
 
1 Kiuchi et al., Nature Methods, v12: 743-746, 2015.
2 Kiuchi et al., Structure, v33: 1-10, 2025.
 
 
【問い合わせ先】
大橋 一正(生命科学研究科 分子細胞生物分野)
Email: kazumasa.ohashi.b2(at)tohoku.ac.jp
TEL: 022-217-6590