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低線量放射線による自己免疫疾患の改善

低線量放射線による自己免疫疾患の改善

第13回 細胞認識応答分野セミナー 低線量放射線による自己免疫疾患の改善 The improvement of the autoimmune disease by l

2012.04.10 16:18
17:00〜
生物棟(青葉山) 共通講義室
中司 寛子 博士
米国立衛生研究所、Mucosal Immunology Unit、日本学術振興会 海外特別研究員
細胞認識応答分野 牟田 達史
E-mail : tmuta@biology.tohoku.ac.jp

これまで放射線はたとえ微量であっても生命にとって有害であるという考えが一般的であった。しかしながら近年、低線量放射線照射による免疫能の賦活化、転移癌に対する抑制効果など低線量放射線の有益な作用が数多く報告される様になった。

本研究では、各種自己免疫疾患モデルマウスにおいて低線量放射線による影響を検討した。全身性エリテマトーデスモデルマウス(MRL-lpr/lpr)、 関節リウマチモデルマウス(Collagen-induced arthritis)、多発性硬化症モデルマウス(Experimental autoimmune encephalomyelitis)に対し低線量γ線を全身照射したところ、病態の抑制(発症率・重症度の低下、延命)効果が認められた。

その病態改善機序として、炎症性サイトカイン産生抑制、自己抗体産生抑制、および制御性T細胞の割合増加が関与する可能性が示唆された。
本研究で用いた線量ではリンパ球に障害を与えることはなく、さらに制御性T細胞の放射線感受性は他のT細胞と同程度であったことから、低線量γ線照射により制御性T細胞が誘導されることが自己免疫疾患病態改善に寄与したものと考えられる。
また、低線量放射線による制御性T細胞誘導機構として、低線量γ線により細胞外へ放出されたATPがアデノシンへと代謝され、アデノシンA2B受容体を介して制御性T細胞の分化を誘導するという新規メカニズムを提唱した。

Nakatsukasa H, et al. Biochem Biophys Res Commun. 2011 409:114-9.
Nakatsukasa H, et al. Radiat Res. 2010 174:313-24.
Nakatsukasa H, et al. J Radiat Res 2008 49:381-9.