GO TOP

研究

受賞

研究

片岡博尚助教授 2004年 Journal of Plant Research 論文賞受賞

片岡博尚助教授 2004年 Journal of Plant Research 論文賞受賞

2005.03.01 21:25

分子生命科学専攻 分子応答制御分野

片岡 博尚

Takahashi , F., Yamaguchi, K., Hishinuma, T., Kataoka ,H. (2003)Mitosis ad mitotic wave propagation in the coenocytic alga, Vaucheriaterrestris sensu Goetz. J Plant Res. 116:381-387 が,2004年度日本植物学会誌J. Plant Res. のBest Paper Awardを受賞しました.
 黄色植物に属する多核細胞であるフシナシミドロの多数の核がどのように分布し,運動し,分裂するかを調べ,以下の重要な2点の発見をしました.
1)単数体nの核が平均して直径約60μmの筒状細胞の長さ1μmあたり1個の頻度で存在するが,先端成長をしている枝の先端に特に多く集合している.先端の核集団は同調的に核分裂をおこし,この同調分裂が波状に基部へ伝播する.
2)間期の核は前方の中心体から60 μmに達する太い微小管束を細胞軸に平行に伸ばし,この微小管が核を引っ張って移動する.核分裂中は微小管束は消え,紡錘体となる.したがって,核分裂中は核が移動できないため,核集合を必要とする形態形成反応は起こらない.
 これらの発見は多核細胞の生きる仕組みを探るための重要な手がかりとなる.

 私たちは黄色植物(Stramenopiles)フシナシミドロの先端成長および,青色光による光屈性や光形態形成反応を研究しています.上記論文も光形態形成反応に関係しています.最近,この藻類には高等植物の光屈性や葉緑体運動の青色光受容体であるフォトトロピン(phot)がない代わり,photとは異なる全く新奇のLOV-bZIPタンパクを数種類持つことを見つけました.それらの一つはLOVドメインにFMNを結合し,光形態形成反応に関わっているようです.また,他の一つは有性生殖の制御に関わっているらしいことを見つけました.これらは近日中に発表します.生理学の基礎を持ち,分子生物学の素養をそなえたやる気のある学生を求めます.

E-mail