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研究

受賞

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宮沢助教が、平成23年度文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞

宮沢助教が、平成23年度文部科学大臣表彰 若手科学者賞を受賞

2011.04.01 10:09

生態システム生命科学専攻宇宙環境適応生態分野

宮沢 豊

 生態システム生命科学専攻・宇宙環境適応生態分野の宮沢豊助教が、「水分と重力によって制御される植物の形態形成機構の研究」で、平成23年度文部科学大臣表彰若手科学者賞を受賞しました。
 植物の根は古くより水分含量の高い方向へ根を屈曲成長させる水分屈性能を有することが示されております。根は植物の主要な吸水器官であることから、水分屈性は植物が陸上へ進出した際に、乾燥を回避し、空間的配置を広げるために進化させた形態形成能であると言えます。この植物の生存に重要である、水分屈性の研究は近年までほとんど進められることがありませんでした。宮沢助教らは、上記課題に対して、水分屈性を制御する分子の同定とともに、水分屈性と水分屈性と干渉しあう重力屈性の相互作用機構の研究を進めました。そして、オーキシンによる水分屈性制御機構の重力屈性機構との異同を明らかにするとともに、レーザーや重粒子線照射を用いた解析により水分屈性に必要とされる細胞群を同定しました。さらに、シロイヌナズナを用いて水分屈性欠損変異体(mizu-kussei: miz)を単離・解析し、世界で初めて水分屈性を制御する遺伝子MIZ1、MIZ2の同定に成功しました。これらの成果は、水という生命体の根源をなす物質を基盤とした根の伸長方向制御機構を説明し得る生理学的、分子生物学的基盤を構築した成果として、それぞれの掲載号においてハイライトされるなど、世界的にも注目を集めています。現在までに、水分屈性制御分子を同定したのはこれらの成果にとどまっており、まさに最先端の研究成果であるといえます。また、重力応答に制御される形態形成機構の解析からも、アサガオなどつる性植物で顕著に認められる頂芽の回旋運動や、腋芽成長制御に重力応答が必要であることを明らかにしました。扱ってきた現象はその動作原理が長きにわたり未解明とされてきた課題であります。それらを明らかにするために独自の実験系を用い、それに現代科学の手法を組み合わせることで、それぞれの課題に対して遺伝子、分子のレベルで答えを出したことは高く評価されています。

本賞については下記HPを参照ください
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/23/04/1304367.htm