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研究

受賞

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東谷篤志教授が「平成25年度日本宇宙生物科学会賞」を受賞

東谷篤志教授が「平成25年度日本宇宙生物科学会賞」を受賞

2013.10.11 10:31

所属:生態システム生命科学専攻・ゲノム継承システム分野
名前:東谷篤志
URL:http://www.ige.tohoku.ac.jp/genome/index.htm
E-mail: ahigashi*ige.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

東谷篤志教授が、平成25年度の日本宇宙生物科学会賞を受賞し、平成25年9月27~28日(つくば)に開催された日本宇宙生物科学会で表彰されました。東谷教授は、2004、2009年度に、モデル生物のひとつ線虫Cエレガンスを用いて、国際宇宙ステーション・きぼう実験棟にて宇宙実験を実施し、宇宙における生物の発生や分化、変異などの基本プロセス、さらには筋形成のメカニズムの解明に多大なる貢献をしたことが高く評価されました。

 これら2回にわたる宇宙実験の成果は、以下の通りです。

2004年度は、International
C. elegans first space experiment
(ICE-First)として、日、仏、米、加の国際チームを編成し、生物の発生、分化、変異などの基本的なプロセスが宇宙(微小重力環境、放宇宙射線被爆環境)でどのようなになるのか?特に、宇宙放射線被爆によるリスクを考える上で最も重要なアポトーシス機構に着目し、DNA損傷に起因したアポトーシスならびに発生プログラムによるアポトーシスのいずれも、宇宙の微小重力下で正常に働くことを明らかにしました。

2009年度は、C. elegans RNAi Space Experiment (CERISE)として、宇宙の微小重力環境で外来性組換え遺伝子、ならびに細胞増殖に必須の遺伝子、筋タンパク質の分解酵素遺伝子のそれぞれのRNAiを行い、地上と同様に機能することを明らかにしました。このことは、今後の宇宙における様々なライフサイエンス実験や遺伝子治療として、RNAi法が有効であることを証明しました。さらに、CERISEにおいては、微小重力下で成育させた個体の運動性が低下すること、それには筋タンパク質に加えて、細胞骨格やミトコンドリア代謝酵素の発現量が抑えられること、そしてカロリー制限応答も誘導されることなどが関与するという新たな事実を見出しました。これらの結果は、宇宙飛行士が軌道上でトレーニングしても筋形成を促進・維持することの難しさの原因に迫れるものと考察されました。