生命機能科学専攻 器官形成分野
東京大学の武田洋幸教授のグループ、生命機能科学専攻の田村宏治教授のグループ、および基礎生物学研究所の亀井保博教授の共同研究によって、脊椎動物硬骨魚類の体幹部外骨格の発生学的起源が明らかになりました。
これまで長い間、サカナの鱗や鰭の外骨格は神経堤細胞に由来すると考えられてきました。しかし今回、武田・田村・亀井の共同チームは、体幹部の鱗が体節由来であること、また対鰭(四足動物の四肢に相同)の鰭条骨は側板中胚葉に由来することを、組織移植と遺伝子工学的手法を併用した新規技術を用いて証明しました。
これまで脊椎動物に最初に現れた外骨格の進化起源は神経堤細胞であり、その後に作られるようになった内骨格は主に中胚葉に起源すると考えられてきましたが、その定説は覆され、骨は由来する細胞の種類にはほとんど制約されず、色々な細胞によって「柔軟に」作られることが決定的となりました。脊椎動物の進化における骨格の成立が体節・側板・神経堤という3つの細胞種の骨化能力の獲得によることや、鰭から四肢への進化における外骨格の消失が側板中胚葉の外骨格化能力の喪失によることが示唆されます。
本研究成果は、平成25年3月28日に英科学誌「Nature Communications」のオンライン速報版で公開されました。
http://www.nature.com/ncomms/journal/v4/n3/full/ncomms2643.html
東京大学から出されたプレスリリースは下記のとおりです。
プレスリリース文