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花粉管伸長を制御するLIMタンパク質の機能解析

花粉管伸長を制御するLIMタンパク質の機能解析

2014.04.24 10:41

生態システム生命科学専攻・植物生殖遺伝分野

渡辺正夫

PLIM2遺伝子機能抑制が花粉管伸長を遅らせ、結実率を低下させる:Genes Genet. Syst.に発表

所属 生態システム生命科学専攻・植物生殖遺伝分野 

名前 渡辺正夫

URL http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/  

E-mail nabe*ige.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

渡辺の研究室のメインの研究課題は、アブラナ科植物の自家不和合性反応の分子レベルでの理解です。アブラナ科植物の場合、不和合性反応は乳頭細胞上でおき、花粉管が一部伸長することもありますが、多くの場合は、花粉発芽がないことも多いです。一方、和合性花粉は乳頭細胞の細胞壁内を通過して、受精に至るわけです。自家不和合性をトータルに理解するためには、花粉管伸長がどの様に起きるかと言うことも重要な因子となります。その中でも、細胞骨格となるアクチンフィラメント(AF)と結合するタンパク質(ABP)のうち、花粉におけるABPの機能は十分には解明されていません。
 渡辺の研究室と大阪教育大・鈴木教授、三重大・諏訪部准教授、韓国順天大・Park博士という、4つの研究室が共同研究を行い、ABPの中でもこれまであまり注目されなかったLIMドメインを持つタンパク質(LIMタンパク質)遺伝子に着目しました。材料には、モデル植物シロイヌナズナを用い、生殖器官特異的に発現しているAtPLIM2a, AtPLIM2c遺伝子の機能抑制系統を作出したところ、野生型と比較して花粉管伸長速度が43%低下しました。その結果、鞘が短くなり、その原因は鞘基部の結実率が低下していることを見いだしました。

 なお、この論文は、国際科学誌、Genes Genet. Syst.  に発表しました。なお、今回の論文はその内容などが評価され、Cover photoにも採用されました。本論文は、Open accessになっていますので、どこからでも見ることができます。

Sudo et al. (2013) Demonstration in vivo of the role of Arabidopsis PLIM2 actin-binding proteins during pollination. Genes Genet. Syst. 88: 279-287., (https://www.jstage.jst.go.jp/article/ggs/88/5/88_279/_article)

 私たちは、植物の生殖形質を遺伝学の手法を用いて、その分子機構を解明することを目標に、研究を行っております。主として研究しているのは、アブラナ科植物の自家不和合性の分子機構、花粉成熟に係わる分子メカニズム、低分子RNAの生殖形質への関連などです。こうした点を明らかにするために、遺伝学、植物学、作物学、育種学、生物情報学などの基礎を持っている方、あるいは、異分野融合を目指して、大量データ解析などこれからの遺伝学に不可欠な基礎を有した学生さんと一緒に研究できれば、幸いです。ぜひ、渡辺まで、ご連絡ください。

nabe※ige.tohoku.ac.jp(※を@に置き換えてください)