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研究

研究成果

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植物の新たなオートファジー経路 -壊れた葉緑体を取り除くオートファジー経路「クロロファジー」の発見-

植物の新たなオートファジー経路 -壊れた葉緑体を取り除くオートファジー経路「クロロファジー」の発見-

2017.01.30 15:33

要点

  • 植物の体内で光合成を行う「葉緑体」は常に太陽光によるダメージを受けているが、壊れてしまった葉緑体がどう処理されるかは解明されていなかった。
  • 今回の研究で、葉緑体が丸ごと運ばれ分解されるオートファジー経路「クロロファジー」によって、壊れた葉緑体が分解されることを発見した。
  • 効率的に栄養をリサイクルできるイネ、といった機能や品質を向上させた作物の作出を目指す応用研究に新たなアプローチを創出することが可能になった。

概要

「オートファジー」は、生物が自らの細胞の一部を消化するための機構です。東北大学学際科学フロンティア研究所の泉正範(いずみまさのり)助教らは、研究用モデル植物であるシロイヌナズナに紫外線や強い白色光、自然太陽光を照射し、光合成を担う葉緑体にダメージを与えると、葉緑体が丸ごとオートファジーで運ばれ分解される「クロロファジー」が起こることを発見しました(図)。この成果により、壊れた葉緑体の除去を担う新たなオートファジー経路が示されました。 葉緑体の分解は、夏は青々としていた水田が秋にかけて黄金色に色づく過程でも積極的に起きており、作物生産とも密接にかかわる現象です。本成果をスタート地点として、葉緑体の分解を制御し、作物の機能や品質の向上を図ろうとする応用的研究が発展していくことが期待できます。 本研究の成果は、植物科学分野において世界的に権威のある米国植物生理学会誌The Plant Cellへの掲載が決定し、2017年1月25日に同誌online版に掲載されました。

葉の細胞の蛍光顕微鏡画像(左図)とクロロファジーによって液胞に運ばれた葉緑体(右図矢印部分)

 
【論文】 Entire photodamaged chloroplasts are transported to the central vacuole by autophagy
 
【著者】 Masanori Izumi, Hiroyuki Ishida, Sakuya Nakamura, Jun Hidema
 
【雑誌】 The Plant Cell
 

問い合わせ先

(研究関連)
東北大学 学際科学フロンティア研究所 新領域創成研究部
(大学院生命科学研究科ゲノム継承システム分野)
助教 泉正範 TEL:022-217-5745
FAX:022-217-5691
E-mail:m-izumi*ige.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)
 
(広報関連)
東北大学 学際科学フロンティア研究所 企画部 URA 鈴木一行
TEL:022-795-4353
FAX:022-795-7810
E-mail:suzukik*fris.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)