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研究

研究成果

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根粒菌の共生ゲノム領域の柔軟性 共生ゲノム領域の大規模な変化が共進化を起こす

根粒菌の共生ゲノム領域の柔軟性 共生ゲノム領域の大規模な変化が共進化を起こす

2021.07.16 14:00

発表のポイント

  • マメ科植物と共生窒素固定を行う根粒菌は地球環境への負荷を低減する有用微生物である。
  • マメ科植物との共生生活に欠かせない根粒菌の共生遺伝子が集中しているゲノム領域が高頻度で大規模な欠失・重複を起こすメカニズムを室内進化実験*1で明らかにした。
  • 本研究により、根粒菌共生ゲノム領域の再編成が自然界における根粒菌の共進化機構であることが強く示唆された。
  • 今後マメ科作物の増収や温室効果ガス削減へ向けた根粒菌の利用研究に貢献することが期待される。
     

概要

 根粒菌はマメ科植物の根に根粒を形成して共生窒素固定を行う土壌細菌です。野外の根粒菌株毎に共生遺伝子が集中しているゲノム領域が異なることは知られていましたが、その生成機構についてはこれまで不明でした。東北大学大学院生命科学研究科の南澤特任教授らのグループは、ダイズ根粒菌の共生ゲノム領域の欠失・重複の変化を捉え、根粒菌の共生システムの柔軟性を明らかにしました。
 本研究は、マメ科植物と共生する根粒菌の柔軟な共進化機構をゲノムレベルで初めて明らかにした重要な報告です。本研究によって、根粒菌を利用したマメ科作物の増収や温室効果ガス削減への研究に発展することが期待されます。
 本研究成果は、7月16日のThe ISME Journal 誌(電子版)に掲載されます。
 
 
 
図1 ダイズ根粒菌の環状ゲノム上の共生アイランドと二つの分離株の比較
同色のISは同じ種類の挿入配列

 

【用語説明】
*1 室内進化実験:実験室で生物の進化を起こさせること。実験室進化や人工進化実験とも言われ、主に世代時間が短い微生物を用いた研究が多い。

【論文情報】
題目:Evolution of rhizobial symbiosis islands through insertion sequence-mediated deletion and duplication
著者:Haruka Arashida, Haruka Odake, Masayuki Sugawara, Ryota Noda, Kaori Kakizaki, Satoshi Ohkubo, Hisayuki Mitsui, Shusei Sato, and Kiwamu Minamisawa
筆頭著者情報:(氏名、所属):嵐田遥、東北大学大学院生命科学研究科
雑誌:The ISME Journal
DOI:10.1038/s41396-021-01035-4

 
 
【お問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科 
担当 南澤 究(みなみさわ きわむ)
TEL: 022-217-5714
E-mail: kiwamu.minamisawa.e6(at)tohoku.ac.jp

担当 佐藤 修正(さとう しゅうせい)
電話番号: 022-217-5688
Eメール:shusei.sato.c1(at)tohoku.ac.jp
 
【報道に関すること】
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか(たかはし さやか)
Tel: 022-217-6193
E-mail: lifsci-pr(at)grp.tohoku.ac.jp