【概要】
- かずさDNA研究所、香川県農業試験場、東北大学大学院生命科学研究科は共同で、アスパラガスに近縁の野生種であるハマタマボウキのゲノム*1を解読しました。
- ハマタマボウキは山口県から九州北部の砂浜海岸に自生する日本固有種で、アスパラガスと交雑できること、また、アスパラガスの主要病害のひとつである茎枯(くきがれ)病*2に抵抗性をもつことから有用な遺伝資源として注目されています。
- 今回ハマタマボウキの全ゲノム構造が明らかになったことにより、ハマタマボウキの茎枯病抵抗性やストレス耐性を導入したアスパラガス種間交雑品種の育成に向けたDNAマーカー*3の開発が進みます。また、種間交雑が成立する仕組みなど、種分化の進化学的な研究にも貢献できます。
- 研究成果は国際学術雑誌 DNA Research において、1月18日(火)にオンライン公開されました。
写真:砂浜海岸に自生しているハマタマボウキ
【用語解説】
*1 ゲノム:生物をその生物たらしめるのに必須な最小限の染色体のひとまとまり、またはDNA全体のことをいう。
*2 アスパラガス茎枯病:カビの一種(Phomopsis asparagi)により引き起こされる病害で、茎が折れやすくなり、感染が拡がると株全体が枯死することになる。
*3 DNAマーカー:DNA配列の品種間での違いを識別することで、 ゲノム上の目印としたもの。DNAマーカーによって、特定の遺伝子を含む領域が親から子へ受け継がれたかどうかが幼苗の葉からでも検定することができる。
【論文情報】
Kenta Shirasawa, Saki Ueta, Kyoko Murakami, Mostafa Abdelrahman, Akira Kanno, Sachiko Isobe (2022) Chromosome-scale haplotype-phased genome assemblies of the male and female lines of wild asparagus (Asparagus kiusianus), a dioecious plant species. DNA Research
DOI: https://doi.org/10.1093/dnares/dsac002
DOI: https://doi.org/10.1093/dnares/dsac002
【お問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
担当:准教授 菅野 明(かんの あきら)
電話番号: 022-217-5725
Eメール: kanno(at)ige.tohoku.ac.jp
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(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当:高橋 さやか (たかはし さやか)
電話番号: 022-217-6193
Eメール: lifsci-pr(at)grp.tohoku.ac.jp
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