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研究成果

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植物の栄養繁殖を制御するホルモンを発見 植物の旺盛な増殖力の起源の解明につながると期待

植物の栄養繁殖を制御するホルモンを発見 植物の旺盛な増殖力の起源の解明につながると期待

2023.03.15 11:00

発表のポイント

  • コケ植物ゼニゴケのクローン繁殖体である無性芽の形成は植物ホルモンKAI2-ligand (KL) によって決定されていることを発見しました。
  • 体の一部からクローンを作る栄養繁殖の程度は、何らかの条件に合わせて無性芽形成ホルモンKL信号のオン/オフが切り替わることにより調節されていることを世界に先駆けて明らかにしました。
  • 栄養繁殖の調節機構の起源や進化の解明につながる発見です。

概要

 多くの植物は種子だけではなく、葉や枝、根などから殖える「栄養繁殖」でも旺盛に増殖します。環境に応じた効率よい栄養繁殖システムを進化させている植物ですが、栄養繁殖を適宜実施する仕組みについては未解明な部分が残されていました。ゼニゴケは私たちの身近に成育するコケ植物の代表です。ゼニゴケの栄養繁殖では無性芽と呼ばれるクローンが多数形成され、それぞれの無性芽が新たな個体に成長し、さらに多数の無性芽を形成するというサイクルが繰り返されます。このためゼニゴケは栄養繁殖によって驚異的に増殖します。
 東北大学大学院生命科学研究科の小松愛乃助教、経塚淳子教授らの研究グループは、植物ホルモンKAI2-ligand (KL) が無性芽形成ホルモンであることを発見し、環境情報に合わせてKL信号のオン/オフをコントロールすることにより栄養繁殖の程度が調節されていることを世界に先駆けて明らかにしました。これは、陸上植物の旺盛な繁殖力の起源解明にもつながる大きな成果です。
 本研究成果は、2023年3月2日(日本時間)にCurrent Biology誌 (電子版) に掲載されました。
 
 
 
 
【論文情報】
Aino Komatsu, Kyoichi Kodama, Yohei Mizuno, Mizuki Fujibayashi, Satoshi Naramoto, Junko Kyozuka* (2023) Control of vegetative reproduction in Marchantia polymorpha by the KAI2-ligand (KL) signaling pathway. Current Biology
*責任著者:東北大学大学院生命科学研究科 教授 経塚淳子

DOI:https://doi.org/10.1016/j.cub.2023.02.022
URL:https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0960982223001628

 
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【問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
教授 経塚 淳子(きょうづか じゅんこ)
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Eメール: junko.kyozuka.e4(at)med.tohoku.ac.jp
 
(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか (たかはし さやか)
電話番号: 022-217-6193
Eメール: lifsci-pr(at)grp.tohoku.ac.jp