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オキサゾリジノンとカルボン酸の直接アシル化反応 〜N-アシルオキサゾリジノンの簡便で実用的な合成法〜

オキサゾリジノンとカルボン酸の直接アシル化反応 〜N-アシルオキサゾリジノンの簡便で実用的な合成法〜

2025.10.03 13:00

発表のポイント

  • N-アシルオキサゾリジノンは、様々な不斉変換反応に用いられ、医薬品や天然物合成の合成中間体となる重要な有機化合物群です。
  • 独自に開発した反応条件を用いて、オキサゾリジノンとカルボン酸の直接的なアシル化反応を実現しました。
  • 本手法は、N-アシルオキサゾリジノンの簡便で実用的な合成法を提供するものであり、創薬化学研究や天然物化学研究の発展に貢献すると期待できます。
 

概要

 N-アシルオキサゾリジノンは、様々な不斉変換反応に用いられる重要な有機化合物群です。例えば、飽和型N-アシルオキサゾリジノン1のアルキル化やアルドール反応は、非常に高いジアステレオ選択性で反応が進行することが知らせています(図1のA)。また、不飽和型N-アシルオキサゾリジノン2のDiels-Alder反応や共役付加反応も知らせています。これらの反応で得られる生成物はいずれも、高い光学純度を有しており、医薬品や天然物合成の重要な合成中間体となります。そのため、N-アシルオキサゾリジノンの簡便で優れた合成法の開発が求められています。
 東北大学大学院生命科学研究科の梅原厚志助教と佐々木誠教授はこれまで、反応性の低い窒素求核剤とカルボン酸を簡便に結合させる新規のアミド結合形成反応を独自に開発してきました(参考文献1)。今回、この方法を応用して、オキサゾリジノンとカルボン酸の直接的アシル化反応を実現しました(図1のB)。実験の結果、様々なオキサゾリジノンと構造の異なる様々なカルボン酸との反応が室温という非常に穏和な反応温度でも円滑に進行して高収率で目的のN-アシルオキサゾリジノンを与えることがわかりました(図1のC)。この成果は、オキサゾリジノンとカルボン酸を簡便かつシンプルにつなぐことができる強力な方法を提供するものであり、創薬化学研究や天然物化学研究の貢献に大きく期待できます。
本研究成果は、2025年10月2日付で有機化学の専門誌Synlettにオンライン掲載されました。
 
 
【謝辞】
本研究は文部科学省科学研究費 若手研究(JP23K14314) の支援のもとで行われました。
 
 
【参考文献】
1. 2023年2月7日付東北大学プレスリリース 2023年2月7日
『反応性の低い窒素求核剤とカルボン酸の高効率化学選択的one-pot縮合反応の開発 〜創薬化学研究に貢献する新たな一手〜』
Atsushi Umehara,* Soma Shimizu, Makoto Sasaki (2023) DMAPO/Boc2O-Mediated One-Pot Direct N-Acylation of Less Nucleophilic N-Heterocycles with Carboxylic Acids. ChemCatChem 2023, 15, e202201596.
DOI:10.1002/cctc.202201596
 
 
【論文情報】
タイトル:DMAPO/Boc2O-Mediated One-Pot Direct N-Acylation of Oxazolidinones with Carboxylic Acids
著者:梅原厚志*、河合佑直、佐々木誠
*責任著者:東北大学大学院生命科学研究科 助教 梅原厚志 
掲載誌:Synlett
DOI:10.1055/a-2701-6055
 
【問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学生命科学研究科
助教 梅原厚志
TEL: 022-217-6214
Email: atsushi.umehara.e3(at)tohoku.ac.jp
http://sasaki-umehara-lab.moon.bindcloud.jp/
 
(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室 
高橋さやか
TEL: 022-217-6193
Email: lifsci-pr(at)grp.tohoku.ac.jp
 
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