専門は細菌の分子遺伝学です。細菌から高等動植物まで共通する生命の原理を、細菌を研究材料として解き明かそうと思っています。大学院生の頃に高等植物の研究を行っていた縁もあり、植物との関係性を研究の切り口にしています。
准教授 三井 久幸
キャンパス | 片平 キャンパス |
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所属研究室 |
共生ゲノミクス
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連絡先 | 022-217-5685 |
hisayuki.mitsui.e5@tohoku.ac.jp |
経歴 |
東京大学大学院農学系研究科博士課程修了、三菱化学生命科学研究所特別研究員、東北大学遺伝生態研究センター助手、同助教授を経て、平成13年4月から現職
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著書・論文 |
Sugawara M, Takahashi S, Umehara Y, Iwano H, Tsurumaru H, Odake H, Suzuki Y, Kondo H, Konno Y, Yamakawa T, Sato S, Mitsui H, Minamisawa K. 2018 Variation in bradyrhizobial NopP effector determines symbiotic incompatibility with Rj2-soybeans via effector-triggered immunity. Nat Commun 9:3139.
Mitsui H, Minamisawa K. 2017. Expression of two RpoH sigma factors in Sinorhizobium meliloti upon heat shock. Microbes Environ 32:394–397.
Sánchez C, Mitsui H, Minamisawa K. 2017. Regulation of nitrous oxide reductase genes by NasT-mediated transcription antitermination in Bradyrhizobium diazoefficiens. Environ Microbiol Rep 9:389–396.
Sasaki S, Minamisawa K, Mitsui H. 2016. A Sinorhizobium meliloti RpoH-regulated gene is involved in iron-sulfur protein metabolism and effective plant symbiosis under intrinsic iron limitation. J Bacteriol 198:2297–2306.
Anda M, Ohtsubo Y, Okubo T, Sugawara M, Nagata Y, Tsuda M, Minamisawa K, Mitsui H. 2015. Bacterial clade with the ribosomal RNA operon on a small plasmid rather than the chromosome. Proc Natl Acad Sci U S A 112:14343–14347.
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所属学会 |
日本農芸化学会、植物微生物研究会 |
担当講義 |
先端分子化学生物学特論II(大学院) 生態学合同講義(大学院) 生命科学概論(全学共通科目) |
最近の研究について
植物共生細菌の代表格である根粒菌は、大半がアルファプロテオバクテリア綱に分類されます。この綱は従属栄養・独立栄養(光合成含む)、水生・陸生(土壌)、植物共生・動物寄生性等々と多様性に富み、地球上の様々な環境で最も繁栄している細菌の分類群です。また、ミトコンドリアとこの綱は、共通の祖先から分かれたと考えられています。根粒菌はと言えば、7,000万年前の地球上にマメ科植物が出現して以降、両者の共進化によって共生窒素固定能が培われました。このような進化には、祖先アルファプロテオバクテリアが潜在的に有していた高い環境適応性と、新たな遺伝子の水平伝播の両方が寄与したと考えられます。私は、根粒菌や近縁の植物内生細菌を研究材料として取り上げ、それらが様々な環境に適応し、時として植物と共生することで繁栄するという生き様の根底にある遺伝的な特徴を明らかにしようとしています。研究の中で、環境ストレス応答、鉄硫黄クラスター生合成、更にはゲノムのレプリコン構成について、根粒菌のなかまには独自の性質があり、大腸菌など従来の分子生物学のモデル生物種とは異なること、また、それらが植物共生に重要な役割を果たしていることなどが明らかになりました。現在は、それら関連遺伝子の詳細な分子機能の研究を進めています。