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研究分野

脳生命統御科学専攻 :
分化制御ネットワーク講座

研究

千葉 奈津子

教授 千葉 奈津子
キャンパス 星陵 キャンパス
所属研究室 腫瘍生物学
連絡先 022-717-8477
E-mail natsuko.chiba.c7@tohoku.ac.jp

 これまで、研究活動に加えて、がんの化学療法の臨床に携わってきました。今後はその経験を生かして、細胞分裂の制御機構やDNA損傷応答機構を解明していくことで、発癌機構の解明、癌の治療法の開発につながるような基礎研究をしたいと考えています。

経歴
1993年3月 東北大学医学部卒業
1997年3月 東北大学大学院医学研究科修了
1997年4月 東北大学加齢医学研究所・癌化学療法研究分野・特別研究員
1998年4月 石巻赤十字病院消化器科
1999年4月 Research Fellow, Department of Pathology Brigham and Women's Hospital and Harvard Medical school
(Jeffrey D. Parvin博士の下で研究)
2002年4月 東北大学医学部付属病院・腫瘍内科・医員
2003年8月 東北大学加齢医学研究所・癌化学療法研究分野・助手(東北大学病院・腫瘍内科兼任)
2007年4月 東北大学加齢医学研究所・免疫遺伝子制御研究分野・准教授
2008年4月 東北大学病院・腫瘍内科兼任
2014年4月 東北大学加齢医学研究所・腫瘍生物学分野・教授
著書・論文
  1. Yoshino Y*, Kobayashi A*, Qi H, Endo S, Fang Z, Shindo K, Kanazawa R, Chiba N. (*co-first author) RACK1 regulates centriole duplication through the activation of polo-like kinase 1 by Aurora A. Journal of Cell Science, 133(17):jcs238931, 2020
  2. Otsuka K Yoshino Y, Qi H, Chiba N. The function of BARD1 in centrosome regulation in cooperation with BRCA1/OLA1/RACK1. Genes, 11(8):842, 2020
  3. Yoshino Y, Qi H, Kanazawa R, Sugamata M, Suzuki K, Kobayshi A, Shindo K, Matsuzawa A, Shibata S, Endo S, Miyanishi Y, Shimaoka T, Ishioka C, Kanno S, Yasui A, and Chiba N. RACK1 regulates centriole duplication by controlling localization of BRCA1 to the centrosome in mammary tissue-derived cells. Oncogene, 38(16):3077-3092 2019
  4. Yoshino Y*, Endo S*, Chen Z, Qi H, Watanabe G, Chiba N. (*co-first author) Evaluation of site-specific homologous recombination activity of BRCA1 by direct quantitation of gene editing efficiency. Scientific Reports, 9:1644, 2019
  5. Yoshino Y, Qi H, Fujita H, Shirota M, Abe S, Komiyama Y, Shindo K, Nakayama M, Matsuzawa A, Kobayashi A, Ogoh H, Watanabe T, Ishioka C and Chiba N. BRCA1-interacting protein OLA1 requires interaction with BARD1 to regulate centrosome number. Molecular Cancer Research, 16(10):1499-1511, 2018
  6. Mori T, Sumii, M, Fujishima F, Ueno K, Emi M, Nagasaki M, Ishioka C, Chiba N, Somatic alteration and depleted nuclear expression of BAP1 in human esophageal squamous cell carcinoma. Cancer Science, 106(9):1118-29, 2015
  7. Matsuzawa A, Kanno S, Nakayama M, Mochiduki H, Wei L, Shimaoka T, Furukawa Y, Kato K, Shibata S, Yasui A, Ishioka C, and Chiba N. The BRCA1/BARD1-interacting protein OLA1 functions in centrosome regulation. Molecular Cell, 53(1):101-114, 2014
所属学会

日本分子生物学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会 、日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構、日本生化学会、細胞生物学会、乳癌学会

 

最近の研究について

 がん遺伝子、がん抑制遺伝子の遺伝子変異の蓄積が、がんを引き起こし、さらにはその悪性度を高めていくことが知られています。私は、その遺伝子変異によって、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群を引き起こす、BRCA1の機能解析を行っています。BRCA1は、H23年5月、米国の有名女優がBRCA1の遺伝子変異を持つために予防的乳房切除を受けたことを公表したことで、新聞やテレビでも大きく取り上げられました。最近は、遺伝性のがんだけでなく、トリプルネガティブ乳がんという難治性の乳がん、抗がん剤感受性にも関与することが明らかになっています。BRCA1は、細胞内のさまざまな機構に関与することが知られていますが、私達は特にDNA修復、細胞分裂制御におけるBRCA1の働きについて研究を行っています。

 中心体は、分裂期に紡錘体極として機能し、染色体の均等な分配において重要な機能を果たし、この機能の破綻は、染色体の欠失や過剰をもたらし、遺伝子異常の原因になります。最近、私達は新規BRCA1結合分子OLA1を同定し、そのがん由来の変異体の中心体制御能に異常があることを明らかにし、OLA1が新たながん関連分子であることを示すことに成功しました。現在は、OLA1とその関連分子の中心体制御機構をさらに詳細に解明するために、解析を進めています。

 DNAは活性酸素などの内的要因や放射線や化学物質などの外的要因によって、絶え間なく損傷をうけており、DNA修復能の破綻もまた、遺伝子変異の蓄積をひき起こします。BRCA1が関与するDNA修復能の異常は、新しいがん治療の予測因子や標的としても注目されています。私達はさまざまなDNA損傷に対するBRCA1の分子応答を解析し、BRCA1がDNA修復因子をユビキチン化して制御することを明らかにしました。

私達はこれらの研究を発展させることにより、中心体の制御機構やDNAの修復機構を明らかにするとともに、がんの発症機構の解明や新しい治療法や予防法の開発のための分子基盤を確立することをめざしています。

図1.OLA1の発現抑制による中心体と核の増加 。 図2 .DNA損傷部位へのBRCA1の集積。

メッセージ

 少しずつでも、自分が考えたことを実験して、さらに考えて実験して、という繰り返しによって、だんだんと、いろんなことが分かって行く過程はとても楽しいものです。細胞分裂の制御機構やDNA損傷応答機構に興味のある方、一緒にこの楽しさを分かち合いましょう。