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研究分野

生態発生適応科学専攻 :
個体ダイナミクス講座

研究

秦 有輝

助教 秦 有輝
キャンパス 片平 キャンパス
所属研究室 植物発生
連絡先 022-217-5710
E-mail yuki.hata.a8@tohoku.ac.jp
orchid
 
多様な生き物たちに見られる形質の規則性やパターンがどのように進化したのかに興味を持っています。
コケ植物やシダ植物のもつ独特で美しい幾何学的発生パターンに魅せられて、植物の発生進化研究にのめり込んでいます。植物は根・茎・葉が基本器官と言われますが、これらの形質はコケやシダ、種子植物の系統などで何度も独立に進化していて、いわば「パラレルワールド」の様相を呈しています。器官を生み出す源となる「幹細胞」を入口として、このパラレルワールドを探検することで、植物が植物らしい形を進化させた過程にどんな規則性があったのかを知りたいと思っています。
 
経歴
2018年3月 東北大学理学部生物学科卒
2020年4月 - 2023年3月 日本学術振興会特別研究員(DC1)
2023年3月 東北大学生命科学研究科博士後期課程修了
2023年4月 - 現職
 
著書・論文
  • Hata, Y., Naramoto, S. & Kyozuka, J. BLADE-ON-PETIOLE genes are not involved in the transition from protonema to gametophore in the moss Physcomitrella patens. J Plant Res 132, 617–627 (2019). 
  • Naramoto, S., Hata, Y. & Kyozuka, J. The origin and evolution of the ALOG proteins, members of a plant-specific transcription factor family, in land plants. J Plant Res 133, 323–329 (2020). 
  • Hata, Y., Kyozuka, J. Fundamental mechanisms of the stem cell regulation in land plants: lesson from shoot apical cells in bryophytes. Plant Mol Biol 107, 213–225 (2021)
  • Naramoto S, Hata Y, Fujita T, Kyozuka J. The bryophytes Physcomitrium patens and Marchantia polymorpha as model systems for studying evolutionary cell and developmental biology in plants. Plant Cell. 2022;34(1):228-246.
     
所属学会
日本植物学会、日本植物生理学会、日本進化学会

最近の研究について

植物は茎の先端部にある分裂組織に未分化な幹細胞を維持していて、そこから葉や茎などの器官を次々に分化させることで成長していきます。未分化な幹細胞と分化する細胞の違いを生み出す仕組みはどのように進化してきたのでしょう? これについて知るために、原始的な性質をとどめるコケ植物の幹細胞に着目しています。複雑な形態進化を遂げた種子植物では、分裂組織にたくさんの幹細胞がありますが、おもしろいことにコケ植物や多くのシダ植物ではたった一つの幹細胞しかありません。1細胞レベルで起こる細胞の分化・未分化の運命決定機構はどのようなものか、そして植物の幹細胞性を規定する保存された仕組みは何なのかを、数細胞レベルでのイメージングや1細胞RNA-seq技術などを駆使しながら明らかにしようとしています。

メッセージ

山に登ったり水辺を歩いたりすると、木々や崖、岩の上から水の中に至るまで、いろんな姿・形をした植物が生えているのを目にします。それらの一部をモデルとして切り取って研究室に持ち帰り、彼らの生き様を精緻に調べることができるのが発生学の醍醐味だと思っています。植物の多彩な形作りの背後にあるメカニズムに興味のある方、ぜひ一緒に研究しましょう!