これまで、研究活動に加えて、がんの化学療法の臨床に携わってきました。今後はその経験を生かして、細胞分裂の制御機構やDNA損傷応答機構を解明していくことで、発癌機構の解明、癌の治療法の開発につながるような基礎研究をしたいと考えています。
キャンパス | 星陵 キャンパス |
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所属研究室 |
腫瘍生物学
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連絡先 | 022-717-8477 |
natsuko.chiba.c7@tohoku.ac.jp |
経歴 |
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著書・論文 |
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所属学会 |
日本分子生物学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会 、日本遺伝性乳癌卵巣癌総合診療制度機構、日本生化学会、細胞生物学会、乳癌学会
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最近の研究について
がん遺伝子、がん抑制遺伝子の遺伝子変異の蓄積が、がんを引き起こし、さらにはその悪性度を高めていくことが知られています。私は、その遺伝子変異によって、遺伝性乳がん・卵巣がん症候群を引き起こす、BRCA1の機能解析を行っています。BRCA1は、H23年5月、米国の有名女優がBRCA1の遺伝子変異を持つために予防的乳房切除を受けたことを公表したことで、新聞やテレビでも大きく取り上げられました。最近は、遺伝性のがんだけでなく、トリプルネガティブ乳がんという難治性の乳がん、抗がん剤感受性にも関与することが明らかになっています。BRCA1は、細胞内のさまざまな機構に関与することが知られていますが、私達は特にDNA修復、細胞分裂制御におけるBRCA1の働きについて研究を行っています。
中心体は、分裂期に紡錘体極として機能し、染色体の均等な分配において重要な機能を果たし、この機能の破綻は、染色体の欠失や過剰をもたらし、遺伝子異常の原因になります。最近、私達は新規BRCA1結合分子OLA1を同定し、そのがん由来の変異体の中心体制御能に異常があることを明らかにし、OLA1が新たながん関連分子であることを示すことに成功しました。現在は、OLA1とその関連分子の中心体制御機構をさらに詳細に解明するために、解析を進めています。
DNAは活性酸素などの内的要因や放射線や化学物質などの外的要因によって、絶え間なく損傷をうけており、DNA修復能の破綻もまた、遺伝子変異の蓄積をひき起こします。BRCA1が関与するDNA修復能の異常は、新しいがん治療の予測因子や標的としても注目されています。私達はさまざまなDNA損傷に対するBRCA1の分子応答を解析し、BRCA1がDNA修復因子をユビキチン化して制御することを明らかにしました。
私達はこれらの研究を発展させることにより、中心体の制御機構やDNAの修復機構を明らかにするとともに、がんの発症機構の解明や新しい治療法や予防法の開発のための分子基盤を確立することをめざしています。
図1.OLA1の発現抑制による中心体と核の増加 。 図2 .DNA損傷部位へのBRCA1の集積。