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研究分野

脳生命統御科学専攻 :
分化制御ネットワーク講座(協力講座)

研究

吉野 優樹

助教 吉野 優樹
キャンパス 星陵 キャンパス
所属研究室 腫瘍生物学
連絡先 022-717-8478
E-mail yuki.yoshino.c8@tohoku.ac.jp

これまでがんの悪性化や抗がん剤の作用機序、薬剤耐性機構などに関する研究をしてきました。現在は細胞分裂制御の分子機構とがん化との関連に興味を持って研究を進めています。最終的には殺細胞薬、キナーゼ阻害薬とは異なる、細胞分裂に作用するがん治療薬の開発のための分子標的の発見を目指しています。

経歴
2009年3月 東北大学医学部医学科 卒業
2009年4月 東北大学病院 初期臨床研修医
2015年3月 東北大学大学院医学系研究科 博士課程 修了
2015年4月 東北大学加齢医学研究所 腫瘍生物学分野 特命助教
2015年9月 東北大学加齢医学研究所 腫瘍生物学分野 助教
著書・論文
  1. Yoshino Y, Chikashi I. Inhibition of glycogen synthase kinase-3 beta induces apoptosis and mitotic catastrophe by disrupting centrosome regulation in cancer cells. Sci. Rep. 2015 vol. 5 13249
  2. Fujita H, Yoshino Y, Chiba N. Regulation of centrosome cycle. Mol. Cell. Oncol 2015 in press
  3. Yoshino Y, Suzuki M, Takahashi H, Ishioka C. Inhibition of invasion by glycogen synthase kinase-3 beta inhibitors through dysregulation of actin re-organisation via down-regulation of WAVE2. Biochem. Biophys. Res. Commun. 2015. Vol. 464, pp 275-280
  4. Yoshino Y, Akiyama S, Ouchi K, Oishi T, Takahashi H, Lee J, Takahashi S, Shimodaira H, Kato S, Ishioka C. Acute exacerbation of paraneoplastic neurological syndrome after massive tumor lysis of neuroendocrine carcinoma by chemoradiotherapy. Int. Cancer Conf. J. 2013. vol. 2, pp 247-250
  5. Sekine H, Chen N, Sato K, Saiki Y, Yoshino Y, Umetsu Y, Jin G, Nagase H, Gu Z, Fukushige S, Sunamura M, Horii A. S100A4, frequently overexpressed in various human cancers, accelerates cell motility in pancreatic cancer cells. Biochem. Biophys. Res. Commun. 2012. vol. 429, pp 214-219
  6. Saiki Y*, Yoshino Y*, Fujimura H*, Manabe T, Kudo Y, Shimada M, Mano N, Nakano T, Lee Y, Shimizu S, Oba S, Fujiwara S, Shimizu H, Chen N, Nezhad ZK, Jin G, Fukushige S, Sunamura M, Ishida M, Motoi F, Egawa S, Unno M, Horii A (* co-first author) DCK is frequently inactivated in acquired gemcitabine-resistant human cancer cells. Biochem. Biophys. Res. Commun. 2012. vol. 421, pp 98-104
  7. Yoshino Y, Ishida M, Horii A. A new 10-min ligation method using a modified buffer system with a very low amount of T4 DNA ligase: the “Coffee Break Ligation” technique. Biotechnol. lett. 2007. vol. 29, pp 1557–60
  1. 吉野優樹、千葉奈津子. インフォームドコンセントのための図説シリーズ 抗悪性腫瘍薬-分子標的治療薬-改訂版 V. 分子標的治療薬を含む標準的治療 4)乳がん (in press)
  2. 吉野優樹、石岡千加史. 分子標的薬の耐性機序. がん分子標的治療、2014. vol. 12、pp 122-128
  3. 吉野優樹、石岡千加史. 分子標的治療薬の進歩 ~特徴と将来の展望~. 耳鼻咽喉科学会誌、2013. vol. 85、pp 472-478
  4. 吉野優樹、石岡千加史. 転移性肺腫瘍に対する分子標的治療・消化器癌. 日本胸部臨床、2013. vol. 73、pp 146-164
所属学会

日本内科学会、日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会

最近の研究について

がんはゲノムに異常が蓄積して生じます。変異や欠損といったDNA塩基配列の異常、また制御領域のエピジェネティックな異常などの他に、染色体不安定性もがんの重要な特徴として知られています。この染色体不安定性の由来として、細胞分裂の制御機構に注目して研究を行っています。また、染色体不安定性、細胞分裂異常を有するがん細胞が、染色体維持のための複雑なチェックポイントを如何に回避するのか、という点にも興味を持っています。これらを如何にして治療法開発に結びつけるか、が最終的な課題です。

メッセージ

がんは緻密に編み上げられた細胞制御機構の破綻によって生じるものですが、がん細胞の生存もまた細胞制御機構に依存しています。幾分か破綻しながらもなんとか機能している機構は脆く見えますが、思いの外頑丈で、がん治療法の開発においては悩みの種です。がんに生じている細胞制御機構のほつれを見る事で、如何に細胞が生きているのか、またがん細胞を完全に破綻させうる泣き処はどこか、という生物学と医学の両方の面白さを味わえるかもしれません。興味のある方はぜひ一緒に研究をしてみませんか。