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研究者の方

アブラナ科植物の乳頭細胞発現遺伝子群のトランスクリプトーム解析

アブラナ科植物の乳頭細胞発現遺伝子群のトランスクリプトーム解析

2013.11.01 11:31

生態システム生命科学専攻・植物生殖遺伝分野

渡辺正夫

次世代高速シークエンサーを用いたアブラナ科植物3種の乳頭細胞発現遺伝子群の基盤構築:Plant Cell Physiol.に発表
所属 生態システム生命科学専攻・植物生殖遺伝分野
名前 渡辺正夫
URL http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/
E-mail nabe*ige.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

 渡辺の研究室のメインの研究課題は、アブラナ科植物の自家不和合性反応の分子レベルでの理解です。自家不和合性にターゲットを絞った研究をこれまで展開してきました。一方で、受粉が起きる雌ずいの先端、乳頭細胞には、同種の花粉だけでなく、異種の花粉も訪花昆虫によって運ばれます。つまり、乳頭細胞は、受粉反応が起きる場を形成していると言うことになります。その場で、どの様な遺伝子が発現し、場を形成しているかを理解することは、重要なことであり、研究の基盤となります。

 渡辺の研究室と大阪教育大・鈴木准教授、三重大・諏訪部准教授教授、名古屋大・中園教授、奈良先端大・高山教授、明治大・矢野准教授、韓国忠南大・Lim教授、スイスチューリッヒ大・清水准教授という、8つの研究室が共同研究を行い、アブラナ科植物3種間(Arabidopsis thaliana, A. halleri, Brassica rapa)で乳頭細胞で発現する遺伝子が自家不和合性、自家和合性を問わず、60%以上、共通していることを、レーザーマイクロダイセクション、次世代高速シークエンサー、バイオインフォマティクスの融合により、明らかにしました。また、受粉反応、乳頭細胞の発達・代謝、細胞間コミュニケーションに重要である数多くの遺伝子を同定し、受粉反応における遺伝子情報基盤の構築にも貢献しました。

 なお、この論文は、国際科学誌、Plant Cell Physiol.  に発表しました。なお、今回の論文は高く評価され、4つのHighlight Reseachsの1つに取り上げられ、また、Cover photoにも採用されました。本論文は、Open accessになっていますので、どこからでも見ることができます。

Osaka et al. (2013) Cell type-specific transcriptome of Brassicaceae stigmatic papilla cells from a combination of laser microdissection and RNA sequencing. Plant Cell Physiol., 54: 1894-1906., (http://pcp.oxfordjournals.org/content/54/11/1894.abstract)

 私たちは、植物の生殖形質を遺伝学の手法を用いて、その分子機構を解明することを目標に、研究を行っております。主として研究しているのは、アブラナ科植物の自家不和合性の分子機構、花粉成熟に係わる分子メカニズム、低分子RNAの生殖形質への関連などです。こうした点を明らかにするために、遺伝学、植物学、作物学、育種学などの基礎を持っている方、あるいは、異分野融合を目指して、大量データ解析などこれからの遺伝学に不可欠な基礎を有した学生さんと一緒に研究できれば、幸いです。ぜひ、渡辺まで、ご連絡ください。