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北米原産「頭が反り返った」ミジンコを日本初確認 ―プランクトンでも外来生物の広がりを示唆 ―

北米原産「頭が反り返った」ミジンコを日本初確認 ―プランクトンでも外来生物の広がりを示唆 ―

2026.05.20 11:00

【発表のポイント】

  • 2025年に実施された河川水辺の国勢調査(ダム湖版)により、北米原産の淡水性動物プランクトン、ミジンコ属の一種 Daphnia retrocurva が、愛知県の新豊根ダム(みどり湖)に分布していることが発見されました。
  • 本種の確認は、原産地である北米以外からの初めての記録で、近年人間活動に伴って北米から日本に持ち込まれた可能性が示されました。
  • 本発見は、継続的な水辺の生物調査が、目に見えにくい外来動物プランクトンの早期発見や生物多様性の把握に有効であることを示しました。

【概要】

    湖やダム湖にすむミジンコ類(注1)は、植物プランクトンを食べ、魚類などに食べられることで、淡水生態系の食物網を支える重要な動物プランクトン(注2)です。近年は人間活動に伴って水域間のつながりが強まり、動物プランクトンが本来の分布域を越えて移動する事例が世界各地で報告されています。
    東北大学大学院生命科学研究科の牧野渡助教、占部城太郎名誉教授らは、2025 年に国土交通省が実施した「河川水辺の国勢調査(ダム湖版)」での動物プランクトン試料を解析したところ、愛知県豊根村に位置し、国が管理する(直轄)新豊根ダム(みどり湖)に、日本にはみられないユニークな形態を持つ北米原産の Daphnia retrocurva(図1) が生息していることを確認しました。本種はこれまで北米大陸北部からのみ知られており、北米以外からの初記録となります。
    また、新豊根ダム湖から得られた個体群を対象に、ミトコンドリア DNA(注3)の塩基配列を解析したところ、北米産個体群とほとんど違いがなく、日本の個体群は、比較的最近何らかの人間活動に伴って北米から持ち込まれた外来個体群である可能性が高いと考えられます。
本成果は、河川・ダム湖などで継続的に行われている水辺の生物調査が、目に見えにくい微小な外来生物の発見や、淡水生態系の変化を迅速に把握する監視機能として役立つことを示しています。
    本研究成果は、2026 年 4 月 28 日に国際誌 Check List に掲載されました。
 
 
図1. 愛知県新豊根ダムで発見されたDaphnia retrocurva.  A)成熟個体、B, C)幼若個体、 D)後腹部突起、E)尾爪にある櫛列(赤矢印)。第二触覚の遊泳剛毛(写真Aの赤矢印)や、後腹部突起、尾爪の櫛列などの形態は、Daphnia 属の種判別に重要な形質であり、いずれもDaphnia retrocurvaの特徴を示している。
 
 
【用語説明】
注1.    ミジンコ属 Daphnia:湖沼や池、ダム湖などにすむ小型の甲殻類です。植物プランクトンを食べ、魚類などの餌にもなるため、淡水生態系の食物網で重要な役割を果たします。
注2.    動物プランクトン:水中を漂って生活する小型動物の総称です。ミジンコ類、カイアシ類、ワムシ類などが含まれます。湖沼では、植物プランクトンと魚類などをつなぐ重要な存在です。
注3.    ミトコンドリアDNA:細胞内の小器官であるミトコンドリアに含まれるDNAです。種の識別や個体群の由来推定に広く用いられます。本研究ではCOI、12S rDNA、ND2という3つの領域を解析しました。
 
 
【論文情報】
タイトル:First record of Daphnia retrocurva Forbes, 1882 (Crustacea, Cladocera, Daphniidae) outside its native North America (Shin Toyone Reservoir, Japan)
著者:Wataru Makino*, Jotaro Urabe
*責任著者:牧野渡 生命科学研究科流域生態分野 助教
掲載誌:Check List: the Journal of Biodiversity Data
DOI:https://doi.org/10.15560/22.2.402
 
 
 
関連リンク
 
 
【問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科
助教 牧野 渡(まきの わたる)
Email: wataru.makino.e8(at)tohoku.ac.jp 
 
(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
高橋さやか
TEL: 022-217-6193
Email: lifsci-pr(at)grp.tohoku.ac.jp
 
 
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