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高橋秀幸教授が2008年度(第24回)植物化学調節学会賞を受賞

高橋秀幸教授が2008年度(第24回)植物化学調節学会賞を受賞

2008.11.01 09:34

生態システム生命科学専攻宇宙環境適応生態分野

高橋秀幸

 生態システム生命科学専攻・宇宙環境適応生態分野の高橋秀幸教授が,2008年度(第24回)植物化学調節学会賞を受賞しました.植物化学調節学会賞は,植物の化学調節に関する研究推進ならびに技術普及の面で優れた業績をあげ,植物化学調節学会の発展に貢献した研究者に授与される賞です.今回は高橋教授が取り組まれてきた「オーキシンによる植物の重力形態形成の制御機構に関する研究」が受賞の対象となりました.
 動物と異なり固着性生活を営む陸上植物は,周囲の環境に適応するために,環境中の刺激に応答し,自身の体勢を制御する独自のシステムを有しています.中でも重力は自然界において水,光,大気といった植物の生存に必要な環境要因の存在する方向を指示する重要な環境要因と考えられます.例えば,植物は重力屈性を発現して茎葉を上方へ,根を下方へ伸長させ,光合成に必要な光,二酸化炭素,水を効率的に得ています.また,古くから植物は重力屈性以外にも様々な形態形成に重力という方向性を持った刺激を利用していることが示唆されてきました.こうした植物の重力形態形成に関して,高橋教授は実際にそれらが重力によって制御されることを明らかにし,その機構の解明に向けた研究を行ってきました.その結果として,ウリ科植物の芽生えにできる,種皮からの脱皮に必要なペグの形成が重力によって抑制されることを宇宙実験によって証明し,その抑制に植物ホルモンの一つであるオーキシンの偏差的な分布の制御が重要であることを,ペグ形成時にオーキシンによって偏差的な発現制御を受ける遺伝子とともに明らかにしました.さらに,アサガオの重力応答欠損突然変異体を用いてつる巻き運動や腋芽伸長に重力応答が必須であることを証明し,その重力応答欠損の原因となる遺伝子を同定しました.上記研究をはじめとし,未解明であった植物の重力形態形成機構について,重力応答機構のみならずオーキシンによるその制御機構を理解するための基盤を構築し,解明したことが高く評価されました.

本賞については下記HPを参照ください
http://wwwsoc.nii.ac.jp/cgi-bin/jscrp/index.cgi