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シナプス前終末を分子レベルで操作することに成功

シナプス前終末を分子レベルで操作することに成功

2013.04.04 10:43

生命機能科学専攻 脳機能解析分野

八尾 寛

 神経細胞は、シナプスを介して情報をやり取りしていますが、その仕組みがどのように作られるのかについては、多くの謎が残されています。私たちは、発達期シナプスのモデルとして古典的なニワトリ胚毛様体神経節カリックス状シナプスに着目し、脳構築分野(仲村春和教授)との共同研究によるin ovoエレクトロポレーション法により、シナプス前終末を分子レベルで操作することに成功しました。さまざまな色の蛍光タンパク質を細胞ごとに異なった組合せで発現できるブレインボウ法を応用し、発達期のシナプス前線維やその終末を色分けし、軸索刈込のプロセスを可視化することに成功しました。また、キメラ型チャネルロドプシンとカルシウム感受性蛍光タンパク質を共発現させることにより、シナプス前終末の機能を光で操作し、光で機能計測することに成功しました。
 本研究の成果は、シナプス研究の革新的なモデルとなり、シナプス前部の形態・機能発達の基盤原理や分子メカニズムの研究を加速させることが期待されます。

本研究成果は、平成25年3月21日にPLOS ONEのオンライン版に掲載されました。

Ryo Egawa, Shoko Hososhima, Xubin Hou, Hidetaka Katow, Toru Ishizuka, arukazu Nakamura, Hiromu Yawo (2013) Optogenetic Probing and Manipulation of the Calyx-Type Presynaptic Terminal in the Embryonic Chick Ciliary Ganglion. PLoS ONE 8(3), e59179.

http://dx.plos.org/10.1371/journal.pone.0059179