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『メラニン色素』の輸送を阻害する新酵素発見

『メラニン色素』の輸送を阻害する新酵素発見

2006.09.01 17:46

皮膚の暗色化制御を行う分子標的として期待

『メラニン色素』の輸送を阻害する新酵素発見

所属:生命機能科学専攻 膜輸送機構解析分野
名前:福田 光則

 東北大学大学院生命科学研究科膜輸送機構解析グループは、独立行政法人理化学研究所と共同で、肌や髪を黒くするメラニン色素の輸送を阻害する新しい酵素「Rab27A-GAP(ラブ27エー・ギャップ)」を発見することに成功した。
 メラニン色素は、「メラノサイト」と呼ばれる皮膚の基底層にある細胞の中でつくられ、「メラノソーム」と呼ばれる膜に包まれた袋(小胞)に貯蔵される。このメラノソームが、メラノサイト内を移動し肌や髪の毛を作る細胞に受け渡されることで、肌や髪の毛が黒くなる。メラノサイトにおけるメラノソームの輸送には「Rab27A」と呼ばれる低分子量Gタンパク質の活性化が不可欠で、GTPと結合し、活性化したRab27Aが共に働くパートナーとなるタンパク質とさらに結合することで、正常に進む。しかし、このRab27Aが活性化したり、逆に不活性化したりする分子メカニズムそのものは、これまで全く解明できていなかった。
 今回、研究グループは、Rab27A分子を特異的に不活性化する分子の探索を行い、Rab27A不活性化酵素を同定することに初めて成功した。同定した酵素は、試験管内で活性化型から不活性化型への変換を促進するだけでなく、メラノサイトに過剰に発現させるとメラノソーム上のRab27A分子を不活性化し、メラノソームの輸送阻害を引き起こす新機能があることを明らかにした。この同定した分子は、ヒトの皮膚や毛根でも機能している可能性が高く、メラノソーム輸送を人為的に制御するための新規の分子標的として応用可能と考えられる。今後、この分子の活性化・不活性化を促す薬の開発が進めば、肌の美白維持や白髪発生の抑制などの研究にも役立つものと期待される。

 本研究成果は、米国の科学雑誌「The Journal of Biological Chemistry」のオンライン版に近く掲載予定で、毎日新聞、日本経済新聞、日経産業新聞、日刊工業新聞、化学工業日報などで報道された。

理化学研究所プレスリリース:
http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2006/060914/index.html