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自家不和合性・雌ずいS因子と花粉管伸長制御因子を解明

自家不和合性・雌ずいS因子と花粉管伸長制御因子を解明

2008.02.01 18:25

高等植物の受粉反応を制御する因子の解明を国際誌Plant Cellに掲載

自家不和合性・雌ずいS因子と花粉管伸長制御因子を解明

所属:生態システム生命科学専攻 植物生殖遺伝分野
名前:渡辺 正夫
URL:http://www.ige.tohoku.ac.jp/prg/watanabe/index.html

 高等植物の受粉反応にまつわる2つの因子をアブラナ・イネを材料として明らかにし、国際誌Plant Cell (Impact factor 9.9)に発表した。
 自家不和合性は、ダーウィンの頃から着目されていた植物特有の現象であり、基礎科学からみれば、 アブラナ科植物の自家不和合性は、遺伝的多様性を維持するメカニズムであり、植物における自己・非 自己識別機構の1つとして注目されている。一方、この自家不和合性は、実際の安定的F1雑種による品種 改良においても利用されている重要な形質である。奈良先端大の高山教授との共同研究により、アブラナ 科植物の自家不和合性雌ずい側因子であるSRKの下流で機能する因子として、MLPK(M Locus Protein Kinase)が、SRKと直接相互作用することで、不和合性機能を維持していることを明らかにした(Kakita et al. (2007) Plant Cell 19: 3961-3973)。
 花粉の発達、花粉管の伸長には様々な植物ホルモンが機能していることは予想されていたが、実際に、 どのような場面で機能しているかは不明であった。この点に関して、名古屋大の松岡教授との共同研究に より、植物ホルモン・ジベレリンが花粉の発達・花粉管の伸長を制御していることを明らかにした(Chhun et al. (2007) Plant Cell 19: 3876-3888)。
 こうした研究を統合して、高等植物の受粉・受精反応を分子レベルで理解したい。

イネの花

アブラナの花

 私たちは、この様にアブラナ科植物の自家不和合性の分子機構を研究しています。ここまで明ら かにしたように、S遺伝子の実態は明らかにしましたが、S遺伝子の認識後、どの様なシグナルが雌しべの細 胞内に伝達され、自己花粉管の侵入ができなくなるのか、あるいは、非自己と認識された花粉がどのようなメ カニズムで、花粉管が乳頭細胞に侵入するのかという点に関しては、ほとんど明らかになっていない。こうした 植物の自他識別のモデルとも言える自家不和合性の全体像を分子レベルで解明したい。
また、花粉発達・花粉管伸長は、現象が博物学的に記載されているが、そこに関わる分子はほとんど解明 されていない。そこで、こうした点を明らかにするために、遺伝学、植物学の基礎を持ち、分子生物学の 素養を有した学生さんと一緒に研究できることを希望します。ぜひ、渡辺まで、ご連絡ください。