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「選択と集中」を独立して指令する脳内のメカニズム 経験にもとづいて匂い源を探索する際にはたらく数十個の神経細胞を同定

「選択と集中」を独立して指令する脳内のメカニズム 経験にもとづいて匂い源を探索する際にはたらく数十個の神経細胞を同定

2021.01.28 14:00

発表のポイント

  • 「選択と集中」は、日常の様々な局面で重要になる行動様式。
  • 一方で誤った選択や過度な集中はリスクが増大するため、効率的な運用には適正な見極め(制御)が欠かせない。
  • ショウジョウバエを訓練することにより、記憶した匂いを選択させるだけでなく、その匂い源に集中させ、探索させることができた。
  • 記憶に基づいた匂いの選択と集中は、同一脳構造からの別々の指令系統によって並行して制御されることを発見した。
     

概要

 これまでの経験から得た知識にもとづいてより良い意思決定をし、そこにリソースを投入する「選択と集中」は、事業の発展のみならず日常の様々な局面で重要になる行動様式です。一方で誤った選択や過度な集中はリスクが増大するため、効率的な運用には適正な見極め(制御)が欠かせません。東北大学大学院生命科学研究科の市之瀬敏晴助教(学際科学フロンティア研究所兼任)と谷本拓教授らのグループは、ショウジョウバエが複数の匂いの中から学習した匂いを選択し、その匂い源を集中して探索することを明らかにし、「選択」と「集中」が脳内で独立して制御されていることを発見しました。昆虫はごく小さな体を巧みに操り目的物に正確に到達する生き物です。本研究により、1ミリにも満たない微小な脳に潜む効率的に生きるための神経回路の仕組みが解明されました。本研究成果は、2021年1月20日のCurrent Biology誌に掲載されました。
 
 
図. 記憶した匂いの選択と集中を指令する神経細胞群。それぞれの細胞が異なる色で示されている。
 
 
 
 
 
 
 
【論文題目】
題目:Mushroom body output differentiates memory processes and distinct memory-guided behaviors 
 
著者:Toshiharu Ichinose, Mai Kanno, Hongyang Wu, Nobuhiro Yamagata, Huan Sun, Ayako Abe, Hiromu Tanimoto
 
筆頭著者情報:市之瀬敏晴 東北大学大学院生命科学研究科(兼東北大学学際科学フロンティア研究所)
 
雑誌:Current Biology 
 
 
【お問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科 
担当 市之瀬 敏晴(いちのせ としはる)
   谷本 拓(たにもと ひろむ)
TEL: 022-217-6224
E-mail:
(市之瀬)toshiharu.ichinose.c1(at)tohoku.ac.jp
(谷本) hiromu(at)tohoku.ac.jp
 
(報道に関すること)
東北大学大学院生命科学研究科広報室
担当 高橋 さやか(たかはし さやか)
TEL: 022-217-6193 
Email: lifsci-pr(at)grp.tohoku.ac.jp